RECORD
Eno.576 ELMERの記録
宿泊室での一幕。日記帳に綴られた拙い文字達。
「……うーん…」
ムゥが寝静まる頃。眠ることの出来ない私はこの子のそばに居たり、落ちていく月を見て夜を過ごす。
……とはいえそれだと時間が勿体なく感じてきたから、こうやって動く手でペンを持ち、出来るだけ日記をつけようと思う。ほとんどは私のリハビリ日記と、今後何かがあった時、誰かがこれを読んだ時にこの子に不便が無いように書き記す事にする。
まずは私のリハビリについて。こうやって夜中に動かないもう片方の手を意識して動かそうとしている。
ムゥのおもちゃを持ち上げたり、手の中で転がしたり。私はもとより利き足や利き腕の概念が無いはずだから、慣れてきたらもう片方の手でも文字を書いてみようと思う。この子のスケッチなら描けそうだし、いずれはやってみよう。
そして、この子について。この子は姑獲鳥と呼ばれるモノの雛…ということなのだが、もっと詳しい事を今後聞かないといけないかもしれない。ムゥに似た魔女が言っていたことも気がかりだし、私が戦うことを捨てる事は出来ないのかもしれない。まあ、私が戦うことを捨てる時は、きっと死ぬ時なのだろうけど。
私はこの子を守り切る。大人になるまで、どんなに悪い魔女が来ようとも、私の脚が砕けるまで、この両腕が、この首が切り落とされるまで、この子が健やかに育ってくれることを願い、戦い続ける。
拙い字でなんとか書き切り、ペンを置く。ふと仮面の縁に触れた時、錆びていることに気付いた。
「……ファウスト、貴方は私の腕を再生してくれた。もしかしたら、私でも分からない変化が、体に起きている気がするの。
…源星は、今の私を見たらどう思うのかしら……」
…いずれ、この仮面を捨てる時が来るのだろうか。剥がそうと思えば、出来ないことは無いのだけど、確実に数日顔は大怪我だから、やる時は考えなくては。
月を見る。……もうすぐ夜明けだ。ムゥの横にそっと座り、少しだけ目を瞑る。この子の声で、私は目を開ける。大丈夫、まだ暫くは…気を張る必要は無い……
ムゥが寝静まる頃。眠ることの出来ない私はこの子のそばに居たり、落ちていく月を見て夜を過ごす。
……とはいえそれだと時間が勿体なく感じてきたから、こうやって動く手でペンを持ち、出来るだけ日記をつけようと思う。ほとんどは私のリハビリ日記と、今後何かがあった時、誰かがこれを読んだ時にこの子に不便が無いように書き記す事にする。
まずは私のリハビリについて。こうやって夜中に動かないもう片方の手を意識して動かそうとしている。
ムゥのおもちゃを持ち上げたり、手の中で転がしたり。私はもとより利き足や利き腕の概念が無いはずだから、慣れてきたらもう片方の手でも文字を書いてみようと思う。この子のスケッチなら描けそうだし、いずれはやってみよう。
そして、この子について。この子は姑獲鳥と呼ばれるモノの雛…ということなのだが、もっと詳しい事を今後聞かないといけないかもしれない。ムゥに似た魔女が言っていたことも気がかりだし、私が戦うことを捨てる事は出来ないのかもしれない。まあ、私が戦うことを捨てる時は、きっと死ぬ時なのだろうけど。
私はこの子を守り切る。大人になるまで、どんなに悪い魔女が来ようとも、私の脚が砕けるまで、この両腕が、この首が切り落とされるまで、この子が健やかに育ってくれることを願い、戦い続ける。
拙い字でなんとか書き切り、ペンを置く。ふと仮面の縁に触れた時、錆びていることに気付いた。
「……ファウスト、貴方は私の腕を再生してくれた。もしかしたら、私でも分からない変化が、体に起きている気がするの。
…源星は、今の私を見たらどう思うのかしら……」
…いずれ、この仮面を捨てる時が来るのだろうか。剥がそうと思えば、出来ないことは無いのだけど、確実に数日顔は大怪我だから、やる時は考えなくては。
月を見る。……もうすぐ夜明けだ。ムゥの横にそっと座り、少しだけ目を瞑る。この子の声で、私は目を開ける。大丈夫、まだ暫くは…気を張る必要は無い……