RECORD

Eno.576 ELMERの記録

幕間:黒狼と白狼②

「…………」
「ほらよ、とりあえず試作だが」
「そう…ありがと」
「接続部が旧部品のままだから、少し違和感はあると思うがとりあえず着けてみるぞ」

新たな脚を装着する。僅かに光った後、ゆっくり立ち上がってみる。片足で立ったり、試しに脚を振り抜いてみた。

……そしたら、確かに接続部が弱かったらしい。振り抜いた方の脚が見事に飛んで行った。けたたましい音と共に、一部の棚へと激突する。

「あ……」
「あ〜…やっぱりか。悪い」
「なんだ、想定内なの?」
「まあな。お前の脚の接続部は昔のだし、俺が持ってる技術じゃそれを再現できないからな。今度、接続部を作り直して…」
「……焼き直すの?」
「まあ、そうなる」

昔と違う。多分激痛が襲う。だけど…

「いいわ、やりましょう」
「いいのか?バカ痛いぞ」
「今更よ。それに…頼みたいことは他にもあるもの」
「……何を?」
「顔」

整備室の2匹。角の狼は少しだけ黙り、口を開いた。

「……その顔は、既に焼き付けられている。それを剥がした所で、その内側はとてもじゃないが人に受け入れられる顔ではない。
なにより、お前自身がショックで死んでもおかしくないぞ。顔は、脚の付け替えとは訳が違うんだから」
「………ええ、十分…理解はしてるつもりよ」

黒狼はため息をつく。少しだけ再調整した脚を付け直し、今度は振り抜かずに水平に向けてみる。…しかし、接続部がまだゆるいようで傾いていった。

「……ダメだな。接続部そのものを直さなくちゃ……今度その脚の接続部を焼き直す。それでいいな?」
「ええ、お願い。
……所で、なぜ貴方は、私にここまでするの?私、貴方に恩を売った覚えが無いのだけど」

黒狼はまた黙る。今度は、答えは帰ってこなかった。不思議に思いながら、私は時間を見る。そろそろムゥが起きる頃だ。戻らなくては。

「まあ、いいわ。聞いた所で私にはどうしようもない事だろうし。また来る」
「ああ、頼む。
……なぁ、その衣服も、いくらか見繕うか?」
「……貴方に女物を扱う事は出来るの?無理でしょう?」
「……………」