RECORD
Eno.276 リベレの記録

というのは、バイトに入ってからずっと聞かされていたことだ。
店長が僕を雇っている理由はどうやら様々にあるらしく、ひとつは闘技衣装のプロモーションのため。さらには雑用や小間使いをさせるため。
もうひとつに、その人物と僕を会わせるため、なのであろう。




少女は身体が弱く運動が苦手だが、闘技試合のアーカイブを見るのが好きだったという。
「会わせてやったらきっと喜ぶ」と微笑む店長の横顔からは、
本当に彼女のことを大切に想っているのだと伝わってくる。
僕もちょっぴり、嬉しくてワクワクしていた。
だってそれって僕のファンってことかもしれないじゃないか。
幻滅されないようにしないとな……。
退院の日は、シーズンが始まって直後のタイミングだった。
僕は闘技場を早めに出て、店で待っているように言われていたので、いつもの席で待機していた。
そして、扉が開く。「ただいま〜」の店長の声。
小さな背中に隠れるようにして続く、もうひとりのシルエット。
僕は立ち上がり一礼しようとして、その少女と目があって。

……息を呑む音がした。
少女は僕と同じ顔をしていたからだ。

店長の意外そうな声が呑気に響いた。
薄翅:Ⅲ
「リベレに会わせたい奴がいるんだよ」
というのは、バイトに入ってからずっと聞かされていたことだ。
店長が僕を雇っている理由はどうやら様々にあるらしく、ひとつは闘技衣装のプロモーションのため。さらには雑用や小間使いをさせるため。
もうひとつに、その人物と僕を会わせるため、なのであろう。
「どんなひとなんですか?」
「女の子だ。事情があってうちが身元を引き受けてて、今は入院してる」
「店長、面倒見いいんですね」
「だからって乙女を父親呼ばわりすんなよ」
少女は身体が弱く運動が苦手だが、闘技試合のアーカイブを見るのが好きだったという。
「会わせてやったらきっと喜ぶ」と微笑む店長の横顔からは、
本当に彼女のことを大切に想っているのだと伝わってくる。
僕もちょっぴり、嬉しくてワクワクしていた。
だってそれって僕のファンってことかもしれないじゃないか。
幻滅されないようにしないとな……。
退院の日は、シーズンが始まって直後のタイミングだった。
僕は闘技場を早めに出て、店で待っているように言われていたので、いつもの席で待機していた。
そして、扉が開く。「ただいま〜」の店長の声。
小さな背中に隠れるようにして続く、もうひとりのシルエット。
僕は立ち上がり一礼しようとして、その少女と目があって。

……息を呑む音がした。
少女は僕と同じ顔をしていたからだ。
「……きょうだいとかじゃ、ないのか?」
店長の意外そうな声が呑気に響いた。