RECORD

Eno.72 Rere Pia Goetheの記録

(6)はじまりのうた

その世界に訪れた時、”あいつ”はかなり気が立っていた。まあそういう事は何回かはあった。急に真面目な顔をして、脇にある柄だけの剣にそっと右手をかけるのだ。
白手袋の擦れる音が、少々荒廃したその地に混ざって消える。

「なんかあんのか、ここ」

「……。まあ、ありますねえ。まあ、危ない時にはまたお迎えに上がります」

「いつもそうだよなお前。ぎりっぎりまで何もしない」

「私から干渉したら、物語の可能性らしくないでしょう?」

「あっそ」

くひひと冗談めかす台詞を吐きながらも、灰色の目つきは鋭くて。
……だが一旦”あいつ”と別れてからの俺の行動はいつも通りだった。取り合えず――

 この世界にミルクはあるのかチェックだ!!!!

結論としてはあった。粉に水を入れるタイプだからちょっと不味い……が、あるものはあった。
もう変質しきった眼と、生まれつきの眼とで、しっかりと確認した。しこたま飲んだ。

やっぱミルクがないと始まらねえんだわ。