RECORD

Eno.72 Rere Pia Goetheの記録

(7)六十四分休符

リリは酒場から離れ、『何処かしずかなところ』を探し始めた。

広いラウンジの片隅、誰もいない棟を見つけてそこでミルクを飲んだ。
まあ、ミルクは変わらずに美味しい。酒場程ではなかったけれど。

己を知っている者達との再会は、嬉しいことではあった。

が、やっぱり、一人の方がいい。
喧噪は自分には似合わない。

異常値は、そっと片隅で生きる方がいい。苦しいんだよ、もう、誰かと関わるのが。

度々〝夢〟を見る右目は、数時間も開けられない。見え過ぎる世界の情報量に、耐えられる程の頭がリリにはない。


 両眼が変質したら、どうなるのかな。
 俺、死ぬのかな。
 身体は健康なのに? ……誰も傷つけたくないな。

 静かに、死にたい。


一人きりのラウンジで、そっと雨は降る。