RECORD

Eno.599 亜久津 魔沙兎の記録

「悪魔」の第一歩

「んじゃ、頼んだぜマサチャン」



どこでも走れるデコトラから降りて、「相棒」の1人からそう言われる。

「任せろ、暴力で金が稼げるなら願ったり叶ったりだぜ。
 好きなだけ暴れさせてもらうとするか」



自信満々、意気揚々と降り立ち。
相棒達に見送られこの地にやってきた。
…は、いいが…。

「知らねえヤツばっかじゃんふざけんな!」



当たり前っちゃ当たり前だが新天地は知り合いは1人もいない。
送迎してくれた『相棒』の一人はオレ達の居場所を守る使命があるし、
もうひとりの『相棒』は別の地に金稼ぎに行っている。
もう数十年住処から出ずに力仕事や家事、住処を荒らすヤツの『処理』ばっかしてたから、
アイツ等意外とほとんど交流を取ってないオレにとっては久々の外出だ。
人がごった返すその地はまるでかつてオレが捉われた異世界のようだった。

言葉は何とか通じるようだが気が重い。
闘技だけに集中出来ればいいがそうもいかないらしい、
なんせ宿泊なり食事なり人と接する機会は多々ある、フレンドリーなヤツもいるだろう。
…ぶっちゃけ、やっていける自信がねえ。
ひたすら闘技に明け暮れるしかねえんじゃねえか?これ…。
前途多難だな、って『轟さん』なら言うだろうか。

「…人との交流の仕方なんて覚えてねえよ…」



今から不安しかねえわ。