RECORD

Eno.215 アカシの記録

剣闘士の道

 アーケードを制覇した。
 簡単な話だ。何度もアルジーヌや阿吽に挑めば、勝ちが多くなるのは俺なんだから。
 互いに縛りのある状況下、勝った方が正義。
 そんな中で、一番上に立つヤツも蹴散らして天辺まで上り詰めたんだから、俺は自分を誇っていいんだと思う。

「みんな強くなってたな」



 やりづらい相手も増えた。
 ギリギリの戦いも増えた。
 新たに本気を出してきたヤツもいた。
 ウェポンマスターだけじゃない。かつての強敵たちがこうして帰ってきて、新しい強者共が跋扈して。そんな環境を、俺は今とても楽しんでいる。

――けれど。

「……俺は、強くなってんのかな?」



――己の成長が実感できない。

 造られた身体。天性の肉体。
 その器用さ、精密さは既に限界まで稼働しており……成長の余地がない
 技量?既に行き着くところまで行き着いた。知らない武器を使えって言われたら幾らでもやるが、直ぐに終わってしまうだろう。
 知略?勝負事に関することなら大抵学んできたし、コイツはそもそも成長を実感しにくい。
 
 さて。
 人間として生きるならば、伸び代の無さは非常に問題だ。
 実感できない成長にストレスを感じて。天井をただ見つめながら、暗闇の中を歩くしかないのだから。

「……」


「……ま、やれるだけ、気の赴くままに」


「欲望を満たすとするかね」



 であれば。
 悪魔としての領分の方が……きっと。

 愉しいに決まっている。







 人間の友人たちがいる。
 いつも楽しそうに笑って、或いは飯を食って、戦って。
 そんな姿を見て、羨ましいと思った。

 悪魔になったら消えてしまう、儚い縁だ。








――どっちを選ぶべきなんだろうな?