RECORD
Eno.86 ダンテ・シンセシアの記録
悲劇
暗い場所にいた。
何も無い、息が苦しい、暗い、暗い、暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い寒い……
怖いよ、誰か助けて……1人は嫌……。
この感覚を僕は忘れない、忘れるように務めていたのに忘れることなんて出来なかったあの日からの記憶。
ちょっと王都の様子が見たくて、別に何をしたい訳でもない……ただこの国の人々の営みを見てみたいだけだった。
だけど、齢8歳にして知ってしまった、その行為が間違いだということに、僕に自由なんてなかったって。
初めて見る街は楽しかった、活気に満ち溢れてて、道行く人はみんな楽しげに話していて素敵だと思った、僕は将来この国の王様になるんだ!
この国を導くんだって……そう思ってた。
「次期国王はアリスに決定する。」
父上は姉上の頭を撫でながらそう皆へと告げる。
そうなれば残る疑問は1つ、僕はどうなる?
僕は、王子……王子とは言うが本当はただの養子に過ぎない、血なんて繋がってないし僕と父上に父子としての愛なんてものは無い。利用価値があるから育てられていただけ、男の子に恵まれなかったこの王族の貴重な跡取りになるかもしれないからと、だけど結果は違った、特例ではあるが僕より何倍も優れてい姉上が王になることになった。
そうなると僕はいらない子となってしまう、捨てられる? 処分される? どうなるのだろう、分からない。
近衛騎士の1人が口を開く。
「その、失礼ながら……ダンテ様はどうなさるおつもりですか……」
「無論……そこら辺の路地にでも捨ておけばいい……こいつは世間には公表しとらんし……野垂れ死んでも誰も気がつくまい。」
「あなた!それはあまりにも……」
「黙れ、何故貴様はこのようなガキを構う? 俺が拾っていなければ死んでいたも同然だぞ?むしろ今日まで生きられただけでも奇跡だ。それがまだ明日を生きようなぞ望むのが筋違いというものよ。」
それはそうなのかもしれない、僕の母も父も僕を産んで直ぐに他界したらしい、赤子ひとりで生き抜くなんてそんなことは無理だ、つまり僕は生まれた時に死んでてもおかしくなかったんだ。
それが今日まで生きられたのなら儲けものだろう、それに捨てられるだけ……生きれる可能性だって十二分にある……大丈夫……大丈夫。
必死に自分に言い聞かせてもこの両目から零れ落ちる涙は止まらない。
何も裕福な暮らしがしたい訳じゃない、ましてや王族として権威を振りかざしたい訳でもない。
ただ、これまで僕がやってきたことが全て無に帰したようなそんな気がした。僕がやってきたことの意味はなんだったのか。
僕がこの国に尽くせるよう努力してきたことは全て無駄だったのか。
寝る間も惜しんで勉強して血反吐を吐くほど鍛えて、その結果がこのザマか。
笑えない喜劇だ。
「父上……私からも……お願いします……ダンテをこの城に置いてあげて……捨てるなんて私嫌よ……」
姉上……アリス・シンセシアが口を開く、父上は自分の娘には甘いから。
そう言われると直ぐに仕方ない検討しようと言った。
正直自分が情けない、こんなところ飛び出して一人で生きていくくらいはして見せれば良いのに、それを出来ないでいる。
あぁ、やっぱり僕は怖いんだな……ここから出て一人で生きていくのが。
「捨てるというのは無しにしてやるが……こいつの処分を考えんとな……さて、処分で思い出したが……ダンテ、お前勝手に王都の方に行ったそうじゃないか? それも何度も。
今までは貴重な跡取りになるかもしれんからと見逃してやったが……もうそうもならんからな……お仕置きをしてやらんといけんな?」
父上が僕の手を引いて独房へと投げ込む、母上や姉上がやめてと喚いているけど聞く耳を持っていない。
暗くて寒くて辺りから変な匂いがたちこめている。
父上は棒切れを取るとこちらへと歩みを進めて1発1発嬲るように僕を殴る。
殴る、殴る、殴る、殴る
どれだけ殴られたかわからない、体中が痛い。
息をするのもきついくらいに体が悲鳴をあげている。
「っ……ぐ、ぁ……!? けほっけほっ……」
それとこの時から時々体に不調をきたすようになった、心臓が燃えるように熱くなって本当に焼けてるんじゃないかと思えるほど痛くなる。
それとこの血、今日僕は死ぬんじゃないかと思うほどの血を毎晩吐いている。
いつもは薬で抑制できてるけど今日は薬がない……。
体も痛いし心臓も痛い、どこもかしこもボロボロだ、あぁ……憐れだな?
僕……才能がなかったばっかりにこんなことになって何のために生きてるんだろうね、何のために生まれてきたんだろうね。
その時僕は確信した、僕の生まれた意味なんてないと、そして僕自身にもなんの意味も価値もないと。
それからのことはよく覚えてないけど意識を保てなくなってあぁ、死ぬのだろうなと思っていたら翌日には傷もかなり良くなっていた。
そして父上から自分の処分も聞かされた、これから僕は姉上の影武者として女として生活させられるのだと。
なるほど、僕は僕の生きる意味だけでなく僕の存在自体と奪われるのか。
あはは、 笑えない喜劇と言ったけど訂正しようこれはクソみたいな喜劇だ。
それから先は口にしたくもなかった、ひたすら女としての生活を強要されて今までの月日が過ぎていった。
8年、たった8年の月日はダンテという人格を消して新しい人格を作るのには十分すぎた。
今僕の中には2人の人格がいる。
あの時の無垢な願いを持っているダンテ
絶望し運命を受け入れてしまったダンテ
本当の僕はどっちだろうね?
後者の方は何かに蝕まれている、僕だけど僕じゃない誰かに。
だけど……まぁいっか!どうせもうすぐ死ぬんだろうしね僕は、その時この内に秘める化け物が出てきても僕の知ったことじゃない。
全部壊れてなくなっちゃえばいい……僕に意味をくれなかった世界なんて必要ない。
だけどこの世界では嫌だな……初めて僕に居場所をくれた世界、ここは僕の好きな世界だから
死ぬ前にちゃんとやりたいことはやっておかなきゃね。

何も無い、息が苦しい、暗い、暗い、暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い寒い……
怖いよ、誰か助けて……1人は嫌……。
この感覚を僕は忘れない、忘れるように務めていたのに忘れることなんて出来なかったあの日からの記憶。
ちょっと王都の様子が見たくて、別に何をしたい訳でもない……ただこの国の人々の営みを見てみたいだけだった。
だけど、齢8歳にして知ってしまった、その行為が間違いだということに、僕に自由なんてなかったって。
初めて見る街は楽しかった、活気に満ち溢れてて、道行く人はみんな楽しげに話していて素敵だと思った、僕は将来この国の王様になるんだ!
この国を導くんだって……そう思ってた。
「次期国王はアリスに決定する。」
父上は姉上の頭を撫でながらそう皆へと告げる。
そうなれば残る疑問は1つ、僕はどうなる?
僕は、王子……王子とは言うが本当はただの養子に過ぎない、血なんて繋がってないし僕と父上に父子としての愛なんてものは無い。利用価値があるから育てられていただけ、男の子に恵まれなかったこの王族の貴重な跡取りになるかもしれないからと、だけど結果は違った、特例ではあるが僕より何倍も優れてい姉上が王になることになった。
そうなると僕はいらない子となってしまう、捨てられる? 処分される? どうなるのだろう、分からない。
近衛騎士の1人が口を開く。
「その、失礼ながら……ダンテ様はどうなさるおつもりですか……」
「無論……そこら辺の路地にでも捨ておけばいい……こいつは世間には公表しとらんし……野垂れ死んでも誰も気がつくまい。」
「あなた!それはあまりにも……」
「黙れ、何故貴様はこのようなガキを構う? 俺が拾っていなければ死んでいたも同然だぞ?むしろ今日まで生きられただけでも奇跡だ。それがまだ明日を生きようなぞ望むのが筋違いというものよ。」
それはそうなのかもしれない、僕の母も父も僕を産んで直ぐに他界したらしい、赤子ひとりで生き抜くなんてそんなことは無理だ、つまり僕は生まれた時に死んでてもおかしくなかったんだ。
それが今日まで生きられたのなら儲けものだろう、それに捨てられるだけ……生きれる可能性だって十二分にある……大丈夫……大丈夫。
必死に自分に言い聞かせてもこの両目から零れ落ちる涙は止まらない。
何も裕福な暮らしがしたい訳じゃない、ましてや王族として権威を振りかざしたい訳でもない。
ただ、これまで僕がやってきたことが全て無に帰したようなそんな気がした。僕がやってきたことの意味はなんだったのか。
僕がこの国に尽くせるよう努力してきたことは全て無駄だったのか。
寝る間も惜しんで勉強して血反吐を吐くほど鍛えて、その結果がこのザマか。
笑えない喜劇だ。
「父上……私からも……お願いします……ダンテをこの城に置いてあげて……捨てるなんて私嫌よ……」
姉上……アリス・シンセシアが口を開く、父上は自分の娘には甘いから。
そう言われると直ぐに仕方ない検討しようと言った。
正直自分が情けない、こんなところ飛び出して一人で生きていくくらいはして見せれば良いのに、それを出来ないでいる。
あぁ、やっぱり僕は怖いんだな……ここから出て一人で生きていくのが。
「捨てるというのは無しにしてやるが……こいつの処分を考えんとな……さて、処分で思い出したが……ダンテ、お前勝手に王都の方に行ったそうじゃないか? それも何度も。
今までは貴重な跡取りになるかもしれんからと見逃してやったが……もうそうもならんからな……お仕置きをしてやらんといけんな?」
父上が僕の手を引いて独房へと投げ込む、母上や姉上がやめてと喚いているけど聞く耳を持っていない。
暗くて寒くて辺りから変な匂いがたちこめている。
父上は棒切れを取るとこちらへと歩みを進めて1発1発嬲るように僕を殴る。
殴る、殴る、殴る、殴る
どれだけ殴られたかわからない、体中が痛い。
息をするのもきついくらいに体が悲鳴をあげている。
「っ……ぐ、ぁ……!? けほっけほっ……」
それとこの時から時々体に不調をきたすようになった、心臓が燃えるように熱くなって本当に焼けてるんじゃないかと思えるほど痛くなる。
それとこの血、今日僕は死ぬんじゃないかと思うほどの血を毎晩吐いている。
いつもは薬で抑制できてるけど今日は薬がない……。
体も痛いし心臓も痛い、どこもかしこもボロボロだ、あぁ……憐れだな?
僕……才能がなかったばっかりにこんなことになって何のために生きてるんだろうね、何のために生まれてきたんだろうね。
その時僕は確信した、僕の生まれた意味なんてないと、そして僕自身にもなんの意味も価値もないと。
それからのことはよく覚えてないけど意識を保てなくなってあぁ、死ぬのだろうなと思っていたら翌日には傷もかなり良くなっていた。
そして父上から自分の処分も聞かされた、これから僕は姉上の影武者として女として生活させられるのだと。
なるほど、僕は僕の生きる意味だけでなく僕の存在自体と奪われるのか。
あはは、 笑えない喜劇と言ったけど訂正しようこれはクソみたいな喜劇だ。
それから先は口にしたくもなかった、ひたすら女としての生活を強要されて今までの月日が過ぎていった。
8年、たった8年の月日はダンテという人格を消して新しい人格を作るのには十分すぎた。
今僕の中には2人の人格がいる。
あの時の無垢な願いを持っているダンテ
絶望し運命を受け入れてしまったダンテ
本当の僕はどっちだろうね?
後者の方は何かに蝕まれている、僕だけど僕じゃない誰かに。
だけど……まぁいっか!どうせもうすぐ死ぬんだろうしね僕は、その時この内に秘める化け物が出てきても僕の知ったことじゃない。
全部壊れてなくなっちゃえばいい……僕に意味をくれなかった世界なんて必要ない。
だけどこの世界では嫌だな……初めて僕に居場所をくれた世界、ここは僕の好きな世界だから
死ぬ前にちゃんとやりたいことはやっておかなきゃね。

ね?ダンテ