RECORD
Eno.576 ELMERの記録
追想/リューシカ=リフトチカ
「………」
大きな書斎。その机で沢山の本に埋まりそうになりながら、ある論文を書きなぐる白虎の獣人がいた。
「…ふぅ。魔法学校の時間魔法に関する論文提出、すっかり忘れてました……ともかく、コレでいいでしょう。後は提出だけです」
誤字脱字がないか再度論文を読み返す。お題は先程も言った通り、《時間の停止、加速、減速を行う魔法のメリットとデメリット》について。幸い、魔術であるにも関わらずそれを扱う者がいるのがこの論文を片付けやすい結果となった。何を隠そう、クロードである。
「今度また、クロードにお礼を言わなきゃいけませんね。あのアーティファクトの事もあるし、本当にユコの事を大事にしてるんだなぁ…良いなぁ」
ぽつり、小さくこぼした。あの二人に中睦まじさでは絶対に敵わない。あんなに強い絆で結ばれた夫婦というのも稀だ、だからこそ、気になる。
「…なぜ私に、あのアーティファクトの保管を任されたのでしょうか…」
頼られる事は嫌いじゃない。だけど、私よりクロードやユコの方が強いのに、なんて思ってしまう。
「お嬢様、お昼はどうなされますか?」
「……そっか、もうそんな時間か…うん、食べる。」
「お嬢様!!」
「ん?」
メイドの1人が息を切らして走ってきた。特に緊急のことなんて何も無かったはずだけど…
「こ、これを……えほっ、えほ……」
「だ、大丈夫?落ち着いて、ゆっくり休んで…」
「も、申し訳ありません……」
メイドから手紙を受け取る。字体は……クロードだ。
「どうしたんだろ?」
「あと……工房の……」
「ん?工房?ユコでも遊びに来た?」
「いえ……あの、クロード様が保管してたアーティファクト……」
手紙をぺらりとめくる。そこに書かれていたのは、ある闘技に参加してくる旨と、『ユコには黙っててくれ』の念押し、あと……アーティファクト持ち出しの報告。
「………ん?え?まさか…」
「は、はい……クロード様にお渡しし、保管していた宝大剣《メガロス》と、竜の心臓が…クロード様に……」
………チクってやろうかな、ユコに。
「…ほんとに?」
「はい…一応、《ラプトル》と《レックス》は残っておりました…三宝剣のうち、メガロスだけ持ち出されております…」
ため息。まあ、クロードなら壊さずに返してくれると思うけど、さ。
「……せめて行く前に言ってくれないかな……よし、今度の特訓の時に角思い切り狙ってやる。掠らせて大ダメージ与えよう」
「さ、左様…ですか……」
ラメルディア近郊、ハーレスタッド。そこのご令嬢である私は、今日も元気です。
大きな書斎。その机で沢山の本に埋まりそうになりながら、ある論文を書きなぐる白虎の獣人がいた。
「…ふぅ。魔法学校の時間魔法に関する論文提出、すっかり忘れてました……ともかく、コレでいいでしょう。後は提出だけです」
誤字脱字がないか再度論文を読み返す。お題は先程も言った通り、《時間の停止、加速、減速を行う魔法のメリットとデメリット》について。幸い、魔術であるにも関わらずそれを扱う者がいるのがこの論文を片付けやすい結果となった。何を隠そう、クロードである。
「今度また、クロードにお礼を言わなきゃいけませんね。あのアーティファクトの事もあるし、本当にユコの事を大事にしてるんだなぁ…良いなぁ」
ぽつり、小さくこぼした。あの二人に中睦まじさでは絶対に敵わない。あんなに強い絆で結ばれた夫婦というのも稀だ、だからこそ、気になる。
「…なぜ私に、あのアーティファクトの保管を任されたのでしょうか…」
頼られる事は嫌いじゃない。だけど、私よりクロードやユコの方が強いのに、なんて思ってしまう。
「お嬢様、お昼はどうなされますか?」
「……そっか、もうそんな時間か…うん、食べる。」
「お嬢様!!」
「ん?」
メイドの1人が息を切らして走ってきた。特に緊急のことなんて何も無かったはずだけど…
「こ、これを……えほっ、えほ……」
「だ、大丈夫?落ち着いて、ゆっくり休んで…」
「も、申し訳ありません……」
メイドから手紙を受け取る。字体は……クロードだ。
「どうしたんだろ?」
「あと……工房の……」
「ん?工房?ユコでも遊びに来た?」
「いえ……あの、クロード様が保管してたアーティファクト……」
手紙をぺらりとめくる。そこに書かれていたのは、ある闘技に参加してくる旨と、『ユコには黙っててくれ』の念押し、あと……アーティファクト持ち出しの報告。
「………ん?え?まさか…」
「は、はい……クロード様にお渡しし、保管していた宝大剣《メガロス》と、竜の心臓が…クロード様に……」
………チクってやろうかな、ユコに。
「…ほんとに?」
「はい…一応、《ラプトル》と《レックス》は残っておりました…三宝剣のうち、メガロスだけ持ち出されております…」
ため息。まあ、クロードなら壊さずに返してくれると思うけど、さ。
「……せめて行く前に言ってくれないかな……よし、今度の特訓の時に角思い切り狙ってやる。掠らせて大ダメージ与えよう」
「さ、左様…ですか……」
ラメルディア近郊、ハーレスタッド。そこのご令嬢である私は、今日も元気です。