RECORD

Eno.7  の記録

§10頁目


ナズへ

体調はどうかしら。日記の返事は、いつでもいいから。

昨日久しぶりに平手をかましたのだけど、平手って結構手に響くわね。
左手で打つ練習しとかないと感覚が全然違うわ。
それに、バイブルのライセンスの中身が変わって昔みたいな事が出来なくなってて、少し残念。


神が存在しないとされてる世界を前は不思議に思っていたのだけど、今はひどく羨ましいわ。
絶対的な「正しさ」がない。それだけで人は立ち返って考えられるでしょうに、
こちらには神の言う「正しさ」を護ることで、与えられる力があるから。
神の教える「正しさ」へ個々への返礼が存在しているから、誰もが、当たり前のようにそれに傾倒する。
恐ろしい話だわ。


続きを書こうかと思ったけど、どこまで書いたんだったかしら。拾われたとこまで、か。
拾われたところが辺鄙な小さな村だったからあんまり医療設備が整っていなくて、治療には随分と体力と時間を要したわ。
どこも壊死しなかったのは幸いだったわ。そこの、境会の教会で半年は過ごしたはず。
そこの司祭とシスターにはすごく世話になってしまって
二人は関係が

ここに来る直前、フルテスそのシスターに、逃げろと言われたの。あなたを追ってる人達が来たからって。
あの焦り方と様子からして、多分、来たのは境会の人間なんじゃないかしら。
私は多分、犯罪者として手配されてたから、それで。
ただ私の身体は知っての通り、走って逃げるにも限界が早いから、
意を決して“鍵”を使わせてもらって……今に至るわ。

フラウィウスに戻って来るまでのことは、おおよそこんな感じね。
だいぶ長くなったけど、振り返れて良かったわ。どこが自分にとって辛いのかも把握出来たしね。
読ませてしまってごめん、でも読んでくれてありがとう。
一人だけで抱えてるのは、少し、苦しかったから。申し訳なさもあるけどね。
次からは最近の話とか書くわ、結構色々身の回りで起きるものだから。

シアーナ・ラナス