RECORD

Eno.563 ブルーバードの記録

うーん……

私達の時間ではあれから一年、りーくんも元気になった……となれば、子供の話が出てもおかしくはありませんね。

私の体の時間は、この体の二十歳の誕生日から止まっています。

昼と夜の長さが等しい秋の日、天浅葱を思い出した……
どうして私の左手に、誰かの死を感知する紋があるのか
ある種の答えが出た瞬間でもありました。



天浅葱は、帝直系の王族の血筋に生まれました。
ずっと子供ができなかった父上の下に生まれてきた、やたら元気な女の子。
それはそれは、大切に育てられました。
陰陽師は、この子の血には破邪の力がある、と言ったそうです。
女児でありながら、跡継ぎにとも考えられていました。
すぐに弟ができたので、その話がどうなったのかは、推測するしかありませんが。

私はお転婆で、男勝りに元気で、ですが致命的なことに、権力に興味がありませんでした。
良い着物より良い食事より家の外の世界に惹かれ
……当時は衛生環境が悪く疫病が流行っていましたから、家から出さず育てられたのは父上の大きな愛情だったのですが
帝より贅沢な暮らしをしながら、それに満足していなかったという変な子供でした。


……思い出せるのは、美しい記憶が多いです。
父上、母上、家に仕えてくださっていた方々の、大きな愛情のおかげ。
今もこれからも、皆様から頂いた愛情は、私の大きな宝物です。



その後
何者かの計略により落命した私は、長く長く……
『誰が』『どうして』『何のために』そんなことをしたのか?
父上と家はどうなったのか?
家臣たちは無事なのか?

……転生した体の中で、そういったことがぐるぐると、頭を巡る日々が始まったのです。

もちろん、1000年以上が経過していると思われる状態で、完全な答えを知るのは不可能ですが
その答えをくれたのは、長く襲撃側であったりーくんでした。
襲う側の視点は、私に……私の死に、納得のいく答えをくれたのです。



……前置きが長くなりました。
りーくんは現在元気になりつつあり、私の後悔の念にもある程度の答えは出ていますが
体の時間をもう一度動かす、ということについては、まだ考えられていない状態にあります。
それは、間違いなく今後の課題でしょう。