RECORD
Eno.276 リベレの記録

身長がほんの少し伸びた。
筋肉がついたのか、体重も増えている。
爪や髪も放っておくと伸びる。
当たり前のことだけれど。
僕にとってはそうじゃない。
僕はVRゲームをプレイしている最中にこのフラウィウスへやって来て、
この世界にリアルを感じて、ここで過ごすことを選んだ。
もう、元の世界に戻ることはない。戻れはしない。
この世界でヘッドマウントディスプレイを外した時に、確信したことではあったけど。
何故この世界に招かれたのか、答えはわからないままで。
アバターであったはずの容姿は、今は確かに僕そのものだ。
顔つきだけは、設定した姿ではなくて、自分の元々の顔。
そして身体も、まるでリアルの僕に寄せるように、デザインされたものから変化してきている。
どうしてこんな見た目にしたんだったっけ。
長髪とマフラーをなびかせた、中性的な少年。蜻蛉を意味する名前。
僕の故郷は、見かけだけなら、なりたいものにいくらでもなれた世界だった。
だけど、そこでは僕は何も目指すことができなくて。
この闘技場で、僕は友を得た。
色眼鏡をかけずに、本当の僕を見てくれたひとたちだった。
たくさん、食事をして、話をして、時には闘って。
この思い出が、選べなかった僕に勇気をくれた。
今は夢がある。
飛びたいと思う理由がある。
だから闘技の地へ向かう。槍を振るう。槍以外の武器だって。
遠くの友に、もしかしたら、両親にも。この名前が届くことが、僕のリアルの証明になる。
薄翅:Ⅰ

身長がほんの少し伸びた。
筋肉がついたのか、体重も増えている。
爪や髪も放っておくと伸びる。
当たり前のことだけれど。
僕にとってはそうじゃない。
僕はVRゲームをプレイしている最中にこのフラウィウスへやって来て、
この世界にリアルを感じて、ここで過ごすことを選んだ。
もう、元の世界に戻ることはない。戻れはしない。
この世界でヘッドマウントディスプレイを外した時に、確信したことではあったけど。
何故この世界に招かれたのか、答えはわからないままで。
アバターであったはずの容姿は、今は確かに僕そのものだ。
顔つきだけは、設定した姿ではなくて、自分の元々の顔。
そして身体も、まるでリアルの僕に寄せるように、デザインされたものから変化してきている。
どうしてこんな見た目にしたんだったっけ。
長髪とマフラーをなびかせた、中性的な少年。蜻蛉を意味する名前。
僕の故郷は、見かけだけなら、なりたいものにいくらでもなれた世界だった。
だけど、そこでは僕は何も目指すことができなくて。
この闘技場で、僕は友を得た。
色眼鏡をかけずに、本当の僕を見てくれたひとたちだった。
たくさん、食事をして、話をして、時には闘って。
この思い出が、選べなかった僕に勇気をくれた。
今は夢がある。
飛びたいと思う理由がある。
だから闘技の地へ向かう。槍を振るう。槍以外の武器だって。
遠くの友に、もしかしたら、両親にも。この名前が届くことが、僕のリアルの証明になる。