RECORD

Eno.23 透の記録

昨日、灰色路地にて



私というものは、本当にどうしようもない生き物でありますから。
約束は破る為のものでしたし、貰ったものは捨てる為のものでした。でもこんな私に預ける方が悪いのだと、誰も思うでしょう。私はそう思っております。責めるつもりは毛頭ありませんが。
変わりようが無いのです。あの早足でけてゆく月のようにはなれません。

神は私に祈らせて、何もしてくれませんでしたし。
悪魔は私に祈らせて、意地悪をしてくれましたし。

隣人は今も笑っていますし。世話焼きは忙しないですし。鼠は赤色をちらちらさせていますし。首は相変わらず痒いのです。

私だけを今日に置いてゆくくせに、私に昨日と明日の荷物を少しづつ持たせるのです。そうして持たせて、何になるのでしょう。

あなた達に、何の得があったのでしょうね。

明日には行けません、と。
私何度も申したでしょう。

「……」「探さなきゃ。」


「早く」「見つけないと、」


あの塔は痩せ細り。やがて折れるのでしょう。