RECORD

Eno.31 エヴドキームの記録

мать

「あら小さい身体!私の子?やだぁ初めてだわこんなの!」
「これからたくさんできるだろうけど、じゃあアンタが長男なのね」

これが1回目。

「アンタ、綺麗な目してるのね、私よりそれっぽくて嫌んなる」
「可愛い子、可愛くない目に遭うんだろうけど、私たちのために我慢してね」

2回目。

「混血ってわかる?私がそれなんだけど、普通子供作れないんだよね」
「それがあの人は孕ませられるんだから凄いよねぇ」
「人間のくせにさ。あぁでも悪魔憑きって言ったっけ?」
「まぁどうでもいいのよそんなの。私にはあの人しかいないから」

3回目。

「綺麗な顔になってきたね!私とあの人に似てきて嬉しい!」
「でもアンタやっぱり身体は人間と変わんない?薄いもんね血が」
「覚醒する時はくるかもしれないけど、私のパパとは違うね、私とも」
「アンタ笑わないね」

4回目。

「これって女の喜びでさ、やめられないんだよね」
「やめようはあるんだけど、やめる意味も今のところないし」
「ねぇ聞いた?アンタのすぐあとの弟、結構いい値段ついたってさ」
「快楽がお金になるならそりゃやるよねぇ〜」
「で、アンタは?幾らになるの?」

5回目。

計5回話して、終始女はにこにこしながら悪びれなく全てを話した。
子供相手だから通じないと思ったのか、それとも通じても問題ないと思ってたのかは知らない。

金の長髪を水に揺蕩えて、長い胴体に青緑の鱗を湛えて、生簀の縁に両腕を乗せて俺を舐め上げるように見上げる女。
大きな輝く水底色の目と、歌うように言葉を紡ぐ小さな口。
人の理の外にいながら、人の親しみに土足で踏み込む混血の蛟。


物心ついてから初めて見た女。
震えるほど美しいらしい容姿の、下卑た醜い女。

アイツを見てから、俺はモノの美醜が全く分かんなくなった。