RECORD

Eno.133 噂話の記録

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夏の雨の日、とつぜんふってきた雨でできた水たまりのおくには
もうひとつの世界があるらしい。
そこには、この学校と同じ学校がそんざいして、
死んだ人にあえるという。

だけれど、死んだ人たちに会いたいとねがう人をあつめて、
もう一つの学校にすむ“オバケ”は、その人たちの××を食べてしまう。
死んだ人たちは、成仏できずにさまよい続けると、知らないうちに“オバケ”になってしまうらしい。

どうやら続きがあるようだが、続きの部分は“まだかきとちゅう!”とだけ書かれており、この冊子には書かれていないようだった。

事件から生まれた噂話



この学校に纏わる怪談のようだ。
*顔のない子、姿のない子、化け子さん、学校のオバケというものらしいが
その資料には、色々な考察が書かれていた。
オバケに襲われた被害者が残りの3つではないか、という考察をもとにあれやこれやと文章が綴られている。
『顔』『名前、もしくは存在』『心臓』をオバケによって奪われたのでは?
という考察がされていた。

考察は、本当にあった話のように広がって、また噂になる




いくつかの噂や都市伝説を集めることで、新たに生まれる都市伝説などはあるのだろうか?

都市伝説に出てくる怪異は本当に存在するのか、あるいは生み出すことは可能か。

昔、従兄妹が書いていた絵本に出てきたもののままだった。
会いたい人物に会える廃校舎。
僕はたしかにそこで、友人に会えた。
けれど一瞬の出来事のようで、まるで夢だったかのようで。
彼はこちら側に戻ってきてはいなかった。
あの廃校舎はあの世なのだろうか。

あの廃校舎が仮にも従兄妹の書いたものが具現化したものであるとしたら、僕自身も近いものが生み出せるのではないだろうか?
随分昔にあった、黒服の男性と従兄妹のやり取りをふと思い出した。

書いたものを現実にできるという話、当時嘘くさい話を小学生にするものだなと思っていたがまさか本当に?

であれば、彼女が書いた絵本に、物語を加えたらあの世界はどうなるのだろう。
あの世界は変わるのだろうか。

角村家によるアーティファクトが、狂気を生み出した




あちらの世界がどうなったかの確認は取れなかったが、いくらか手を加えてみた。

学校の怪談や、聞いた話をまとめて付け加えた。
昔あった事件を参考に、生きた人間二人と死者二人、合計四人が必ずセットで校舎にはいりこむものだ。

死者に会いたいと願う人と、不幸に巻き込まれた人。七人ミサキのように入れ替われるように。
生者は死者として、死者は生者として、
お互いに目的が果たせるのなら越したことはない。

死者となった生者は、怪異としてまた入れ替わりを狙うのかもしれないし会いたかった死者との再会を果たせて…ということもあるかもしれない。
こういう話のほうが、都市伝説として成り立つのではないか?

そうして、カドムラヒカルという人物によって、実験が始まった



噂話の実験が



書かれた通りに僕はただ動くだけの道具になり果てた。
決まって、代償をわざわざ人として選ぶのは、彼の狂気か、あるいは
僕の元になった存在を知っているからか。

神様の入れ知恵かもね。

なぜ、彼が遠回りをするのか。
ノートに生き返らせる方法を書けばいいだけ、だったのに。
たぶんそれが許されなかったのだろう。

角村が、自分の家族をまた蘇らせないために。


本当にそうかはわからないけど。




……ぼくがくずれてく