RECORD

Eno.576 ELMERの記録

回想/エンシェント

『クロードはどうして、ボクを助けようと思ったの?』

水晶の中の竜は、少しだけ申し訳なさそうに聞いてきた。

「どうした?今までそんな心配した事ないだろう?」
『うん。でもね…ちょっとだけ不安になったの。
分かってる通り、ボクには戦う力がない。ボクが出来たことは、森を維持できるだけの魔力を補う事と、他の子達に干渉して、荒ぶる心を鎮めること。とても、戦えるような物じゃないのに…』

……魔力にも質がある。この事に気が付いたのは最近だった。
俺の中にあるほんの僅かな魔力は、攻撃性が強い物。恐らく、ロゥのせいなのだろう。
しかし、エンシェントが持つものは俺と真逆、防御性…とは少し違うものの、誰かの鎮静化を図ることが出来た。干渉は、その副次的な効果に過ぎない。

「……お前にはお前の役割がある。気に病むな」
『でも…』
「この盾は、お前を守る装甲であると同時に、お前の干渉を助ける物だ。俺の同調が上手くいけば、他人の心まで入り込めるような気がするんだよな」
『それは……危険じゃ…』
「いや、むしろその逆だ。言葉の通じない獣や竜相手に干渉出来たなら……心ってのは生き物である以上あるものだよ。
…俺は、力だけに頼るのはもうやめる。お前の力があれば、《対話》で、相手を沈めることもできるんじゃないかなって思ってるんだよ」

『…………対話…』
「お前が俺に助けを求めたように、戦いになりながら、その心は救いを求めてる奴らなんて沢山いるはずだ。俺はそれを助けたい。霊薬も、いつか見つかるだろうしな」

この世界は不思議だ。少なくとも救いのない、俺の元の世界よりもずっと希望がある。

「……まあ!そのためにはお前も盾も完成させないといけないんだけどな!」
『そ、そうだね…』
「もう少し付き合ってくれエンシェント、やっとコツが掴めそうなんだ。」
『………いいよ。クロードが満足できるまで付き合う』