RECORD

Eno.179 アルア・フィフスの記録

確証バイアス

Eno.234との会話抜粋

その男は酒場の隅にいた。



「ンあー、執行人、通り名じゃなかったんですね。本職かァ。
 アレも大変そうですなァ」

『ああ…”死刑執行人”、通り名でなく歴とした本職だよ
 …今となっては”だった”が正しいんだろうがね

 職業柄、恨まれるなんて事はまま有るから顔を隠すのが当たり前だったよ』

「そうですなァ… 死を決定する人は高いトコで知らぬ振りで
 手を汚す人間ばかり、直接の憎悪に触れることになるってのは…

 しかし、もう過去の話ってなら、もうぼちぼちそいつ紙袋も取って
 よろしいのでは?」

『……取る気は無いかな
 其くらいしか”私”だと分かるものがないしな』

「ふはッ まァ、紙袋無しで会ったら、気付く自信が無ェです」

「しかし、ならここでの戦いは好機なんでないです?
 その処刑っぷりで ここに在り って
 畏れさせてやりゃァいいんですよ。観客共を」


それはいつもの酒の席の戯言で。
何となく、本当に何とは無しに、話した事だったのだが。



「取れば?って言ったの、気に留めてくださってたんですねェ」



「へェ、私、殺す以外で人に何らかの影響を与えるの、
 初めてかもしれません」



それはおかしい。
何かがおかしい。
おかしいならば、少し修正してやるだけ。

「ね、ディミオス」



「久々に、本物の死刑執行、してみませんか?」



誰かとの繋がりはいつだって殺して殺されて。
ほら、これで問題ない。
いつも通りの安心を。