RECORD
Eno.109 ネージュ・コルウスの記録
スワンプマン
ボクにはロゼという娘がいる。
血縁上でもそう言えるけれど、ロゼは母親の腹から生まれるそれとは違う。
ロゼは、ボクとメリュジーナの生前の肉体が、"ある特異物質"と合成されたことで生まれた……人工生命体だ。
白い泥のように自在に流体化したり、変形できる身体を持ち、竜とグランドピアノを組み合わせたような姿にも変身できる。
最大の特徴は身体を構成する泥を切り離し、他者の身体に移植できること。
医療的にはとても便利な能力に思えるけれど、ここに恐ろしい副作用がある。
それは、一度に多量に移植すると溺れるような多幸感を与え、移植先の心身を溶かすように取り込んでしまうこと。
その多幸感は体温に包まれるように"あたたかく"、そのまま眠りに落ちてしまいたいと思えるほどに抗いがたい。
この性質は、泥はあらゆる生命体と適合・融合する生体物質の塊であり、ロゼの意識が常に張り巡らされているのが理由だ。
泥が生体に完全に定着すれば侵蝕は止まるので、日常的な手当に使われる分には問題ない。
可能な限りあらゆる形態に変化し、何にでも適合できるということは、
泥から新しい肉体を作ることもできるということだ。
魂さえ残っていれば世界のルールを掻い潜り、生死の境を飛び越えて、生まれなおすチャンスがある。
けれど、はっきり言っておすすめはしない。
試してみたら頭がパチパチ弾けて焼き切れそうだったし、
外からの分離の補助がなければ、今頃ボクはボク自身ではいられないところだっただろう。
ボクとロゼが、"血縁"だったというのも大きかったように思える。
今でも後遺症として、ロゼの心の声が常に聞こえる作用が残っている。悪くはないんだけどね。
ちなみに、この作用は世界の境界を跨ぐと聞き取れなくなることをボクが確認した。
どうしてこんな危険なことに挑んだかって?
ボクは元から生き返りたかった訳じゃない。
けれど、自分を母親と慕う可愛らしい存在に求められたら、この手で抱きしめてあげなくちゃと思ったんだ。
血縁上でもそう言えるけれど、ロゼは母親の腹から生まれるそれとは違う。
ロゼは、ボクとメリュジーナの生前の肉体が、"ある特異物質"と合成されたことで生まれた……人工生命体だ。
白い泥のように自在に流体化したり、変形できる身体を持ち、竜とグランドピアノを組み合わせたような姿にも変身できる。
最大の特徴は身体を構成する泥を切り離し、他者の身体に移植できること。
医療的にはとても便利な能力に思えるけれど、ここに恐ろしい副作用がある。
それは、一度に多量に移植すると溺れるような多幸感を与え、移植先の心身を溶かすように取り込んでしまうこと。
その多幸感は体温に包まれるように"あたたかく"、そのまま眠りに落ちてしまいたいと思えるほどに抗いがたい。
この性質は、泥はあらゆる生命体と適合・融合する生体物質の塊であり、ロゼの意識が常に張り巡らされているのが理由だ。
泥が生体に完全に定着すれば侵蝕は止まるので、日常的な手当に使われる分には問題ない。
可能な限りあらゆる形態に変化し、何にでも適合できるということは、
泥から新しい肉体を作ることもできるということだ。
魂さえ残っていれば世界のルールを掻い潜り、生死の境を飛び越えて、生まれなおすチャンスがある。
けれど、はっきり言っておすすめはしない。
試してみたら頭がパチパチ弾けて焼き切れそうだったし、
外からの分離の補助がなければ、今頃ボクはボク自身ではいられないところだっただろう。
ボクとロゼが、"血縁"だったというのも大きかったように思える。
今でも後遺症として、ロゼの心の声が常に聞こえる作用が残っている。悪くはないんだけどね。
ちなみに、この作用は世界の境界を跨ぐと聞き取れなくなることをボクが確認した。
どうしてこんな危険なことに挑んだかって?
ボクは元から生き返りたかった訳じゃない。
けれど、自分を母親と慕う可愛らしい存在に求められたら、この手で抱きしめてあげなくちゃと思ったんだ。