RECORD

Eno.493 ---の記録

香る今際

彼が酒場に来なくなった理由がわかった。

とある場所、とある時。
忘れかけていた薔薇の香りに死臭がふわり。
冷たくなった彼がそこにいた。

ここに来て初めて、自分本名を呼んだ男

もうその名で呼ばれるのは怖くなくなった、と
彼に伝えようと、ずっと待っていた。
けれど彼はもう誰の名前も呼ぶことはない。

どうやら自分は、彼に対して負け犬のまま
終わってしまったようだ。