RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

15 サザンカは咲く


 準備を整えたから、サーニャさんと約束の私闘をした。
 いつもみたいにダガーを構えた。
 僕はあなたに、勝てるでしょうか。

 本気のあなたにはもう3度負けている。
 僕は対峙することが怖かった。
 けれど乗り越えなければ、強くなれないと思っていた。

 否定、侮蔑、嘲笑の声が頭の中でうるさく響く。
 振り払って、深呼吸して、臨んで──。

──あなたに、勝てたね。

 僕のアンブッシュは、あなたをとらえて。
 僕は怯えていた過去の自分を、
 きっときっと乗り越えられた。

 こぼれた涙、久しぶりの、肌灼く痛み。
 嬉しかったことを、忘れない。

  ◇

 僕は徒花なんだって、最初から咲かない花なんだって。
 けれど努力を続ければ、いつか咲けると信じている。
 厳しい冬を乗り越えて、サザンカは咲くんだから。
 きっときっと──咲いてみせるから。

 少しは前に進めたかな、僕は自信を持てたかな。
 くたびれきった頭の中、満足感が浮かんでいた。

  ◇

 それはそれとして、最近、疲れることが増えた。
 知っている、毒の血の魔法の制御は簡単じゃないんだって。
 そっちに体力も魔力も持ってかれるから、僕はどうしても虚弱で。
 眠い、なぁ……。ねむく て たま ら な