RECORD

Eno.227 アルティナ&アルティカの記録

2 風神の愛し子

 俺は天才なんだって。俺は神様に愛されてるんだって。
 だから俺は強い力を持っているんだって。
 強い強い風の魔法は、魔導王国の王子に相応しいものだ。

「──だけど代わりに、人の心が分からないんだって」



 それでも別に構わなかった。
 俺が正義、俺さえ良ければそれで良かった。
 良かった、はずなのに、なぁ──

「……シャル」



 俺は俺のかわいい弟が、俺に向ける感情を知らない。
 俺の心が欠けているから、分からない?
 負の感情なんて要らないものだと思ってた。
 けれどそのせいでシャルを理解出来ないなら、

「…………」



 それを、知ってみたいと思った。
 闘いを重ねていけば、得られるものはあるのかな。

 俺は恵まれている。シャルとは違って、ずっと。
 そんな俺が全て捨てて自由に生きているのを、
 シャルは妬ましいと、憎らしいと言うんだ。

 妬ましいって何? 憎らしいって何?
 俺はどうして、大好きな君に嫌われているのかな。
 知りたいのに、理解が出来なかった。
 風の神様が奪ってった、俺の心のかけらたち。