RECORD

Eno.15  の記録

迫る足音

童サマと市にお出かけしました。
椿油とお花の折り紙を童サマからいだきました。

ミジメカサマにピアスを開けてもらいました。
まだ少し血が出るときもあるので、ピアスをひっぱらないようにしないといけませんね。

ユエリサマがおはなの種をくれました。
いっしょに居るようで、さびしさが薄まるようです。

マイリーサマからお菓子をもらいました。
可愛らしい入物は、ハロウィンという行事での物みたいです。






「………」



椿油の匂いに包まれて、片手は不安気にピアスの開いた穴を弄る。
口の中には甘いお菓子の味がまだ少し残っていて、植木鉢に植えた種はまだ芽吹いてはいないまま窓辺からベット上の少女を見守るばかり。


「だいじょうぶ……だいじょうぶです…」



自室に増やした自分の存在を強めるもの。
認識されているのだと思えるものを身に纏って、自分を落ち着かせる。

もう、あんな怯えも恐怖も思い出したくはない。


わたしは見えなくなっていない



「……」



サイトサマはきっと、自身が傷つく覚悟もわたしが傷つく覚悟も出来ている。
わたしのしあわせは彼の思うしあわせじゃないから。


彼にとっては、わたしのしあわせは光に思えないのだろう。



もしも……

もしも、すべてが悪い方へと向かっていくのならば

その時わたしは……





「……」



首筋の痕を何度も爪先で抉った。
血の匂いが零れた。

ちいさな黒いネコが、あたらしくできた首の傷に『ニィ…』とちいさく鳴いていた。