RECORD
Eno.163 惨禍の記録
溶解
よう‐かい【溶解】 ① 溶けること。 溶かすこと。 ② 特に、物質が液体に溶け込んで、均一な液体、すなわち溶液になること。

種族としての憎悪が溶けた。

個人としての恐怖が溶けた。

生き物としての安定が溶けた。
それらは触手人としての逸脱であり、人からの逸脱でもある。
全身にかかった呪いが惨禍をいつまでも祝福している。
犯罪奴隷隊からも抜け、正当な探索者として活動できるようになって、その道は迷宮へと開けているはずだった。

誤算があるなら、この触手人は、惨禍は、ミジメ力は、どうしようもないほど自己愛を極め、他者干渉を許さなかったことか。
迷宮の呪いは均一に溶け込み、しかしその濃度は、汚染は、触手人の頑固な意思をもって変化し、決して扱えないものではなくなった。
暴徒である。暴力の、徒である。これを従わせるのであれば、暴力だけだ。
祝福ではない。

触手人はニタニタと笑って、迷宮の誘いを足蹴にし続けている。


どうしようもなく愛を理解しない生き物だった。
そういう種族であったとしても欠片ほど抱けるはずのそれを、すべからく加害的に変換している。
どうしようもない、救われたがらない、明日しか見ない刹那的な破滅主義者。
「強い者に殺されるのも、あるいは力不足で死ぬのも、暴力を愛しているから理不尽を受け入れている。どこまでも身勝手に生きていたい」
「好きにしろ。オレは好きにする」
力での淘汰がありのままで生きる事だ。

「只人や他の亜人共は今でも嫌いダガ、耐えかねるほどではなくなったヨ」
種族としての憎悪が溶けた。

「迷宮に還るのは怖くナイ」
個人としての恐怖が溶けた。

「平和を望まナイ」
生き物としての安定が溶けた。
それらは触手人としての逸脱であり、人からの逸脱でもある。
全身にかかった呪いが惨禍をいつまでも祝福している。
犯罪奴隷隊からも抜け、正当な探索者として活動できるようになって、その道は迷宮へと開けているはずだった。

「ダケドいい様に扱われるのはゴメンダ」
誤算があるなら、この触手人は、惨禍は、ミジメ力は、どうしようもないほど自己愛を極め、他者干渉を許さなかったことか。
迷宮の呪いは均一に溶け込み、しかしその濃度は、汚染は、触手人の頑固な意思をもって変化し、決して扱えないものではなくなった。
暴徒である。暴力の、徒である。これを従わせるのであれば、暴力だけだ。
祝福ではない。

「オレの生き方はオレが決めル。オレが楽しいように生きて、適当に野垂れ死ヌ。そこが迷宮カ、外カはその時の気分次第ダ」
触手人はニタニタと笑って、迷宮の誘いを足蹴にし続けている。

「オレは一人で産まれタ」

「なら死ぬ時も一人でイイ」
どうしようもなく愛を理解しない生き物だった。
そういう種族であったとしても欠片ほど抱けるはずのそれを、すべからく加害的に変換している。
どうしようもない、救われたがらない、明日しか見ない刹那的な破滅主義者。
「強い者に殺されるのも、あるいは力不足で死ぬのも、暴力を愛しているから理不尽を受け入れている。どこまでも身勝手に生きていたい」
「好きにしろ。オレは好きにする」
力での淘汰がありのままで生きる事だ。