RECORD

Eno.462 触手闘士タクルス10の記録

漂流者の記録01

9の月6の日、フラウィウス世界、“アレーナ”にて。
レイディアスの触手族、(判読できない記号の列)10記す。

もはやわたしがレイディアスの一員を名乗ることが許されるとは思えぬが、
自らをそう定義することでわずかな正気を保とうと意図するものである。

フラウィウス世界は活気に満ちており、人々は寛容である。
わたしのような異形の存在が(わたしから見れば周囲の人々こそが異形であるが)
このように簡単に記録手段を入手できることがなによりの証左と言えよう。

闘技に関しても殺傷は発生しない仕組みになっており、
闘技者の生命と技術への敬意が感じられる。
噂には聞いていたが、このような闘技の形態が実際に存在し、
破綻せず運営されているということは興味深い。

闘技者の面々もまったくもって多様である。
この身が初見では驚かれこそすれ、
その後はすんなりと受け入れられるというのは信じがたいことである。
娘の留学先はどうだろうか。ここと同じくらいに寛容であればよいのだが。
手紙には心配するなとしか書かれていないが、どうしても気になる。

そういえば、食堂だかテラスだかで遭遇した少女。
耳(聴覚感覚器)が長い特徴を持っていたが、彼女の左手も……。
いや、憶測で記すのはよそう。

ともあれ、フラウィウスのアレーナには多様な世界から多様な人々が集まっている。
ここであれば、わたしが元の世界に戻る手がかりを得られるかもしれない。
その情報収集をするためにも、ある程度の実力を示す必要があるだろう。
ひとまずの目標はウェポンマスター全員の打倒となるだろうか。
勝利数や連勝数に関してはあまり気にしない方がよさそうだ。
ほどほどに試合を行い、飲食と会話に不自由しない状態を保つとしよう。

厨房の支配者殿にまた海に叩き込まれるのは勘弁ではあるのだが、
おそらく今後も発生するのであろうな……。