RECORD
Eno.563 一つ目の蜻蛉の記録

黒翅蜻蛉

まだVRもARも対象年齢じゃない頃は、昆虫図鑑を読むのが好きだった。
苗字も家紋も蜻蛉なので、虫が苦手な母も蜻蛉のことは好きって言っていた。僕の家は田舎で、近くに沢があって、夏から秋にかけてたくさん蜻蛉が飛ぶ……らしい。というのは、もう何年も家の外になんて出ていないから、確認が取れていないのだ。物資はドローンが配達してくるし、生活に困ったことはないけれど。
黒い刃の大槍を手にした時、図鑑で見たハグロトンボのことを思い出した。群れて飛ぶ様は、小さくても目を引く迫力があるのかな、なんて想像をして、好きな種への敬意を忘れたくなくて、そういう名前を心の中でつけた。小説の主人公のような、シンプルな服装に託して。
そういえば、僕の家の近くには、この蜻蛉は飛んでいるのだろうか。
装備カスタムメモ:十文字槍

黒翅蜻蛉

黒は好きな色だ。
何物にも染まらない、場を引き締める。
……でも僕の翅にはまだ、色はついてない。
まだVRもARも対象年齢じゃない頃は、昆虫図鑑を読むのが好きだった。
苗字も家紋も蜻蛉なので、虫が苦手な母も蜻蛉のことは好きって言っていた。僕の家は田舎で、近くに沢があって、夏から秋にかけてたくさん蜻蛉が飛ぶ……らしい。というのは、もう何年も家の外になんて出ていないから、確認が取れていないのだ。物資はドローンが配達してくるし、生活に困ったことはないけれど。
黒い刃の大槍を手にした時、図鑑で見たハグロトンボのことを思い出した。群れて飛ぶ様は、小さくても目を引く迫力があるのかな、なんて想像をして、好きな種への敬意を忘れたくなくて、そういう名前を心の中でつけた。小説の主人公のような、シンプルな服装に託して。
そういえば、僕の家の近くには、この蜻蛉は飛んでいるのだろうか。