RECORD

Eno.227 アルティナ&アルティカの記録

9 深夜の様子見

 
 ソラさんから話を聞いて、
 宿の、弟の部屋まで様子を見に行ったよ。
 シャルの顔色はあまり良くなかった。
 そっと触れたら、身体はとても冷たくて。

 ……嫌な気を感じるなぁ。
 シャルが前に魔力暴走を起こした時も、
 ちょっと似たような感じになってたのを思い出した。
 次にアレが起きたら、シャルは今度こそ死ぬんじゃないの。

 それだけは、嫌だ。

  ◇

 今この場に、魔法破壊の力を持つキィルはいない。
 キィルがいたならシャルのその毒の魔法を、
 しばらくは無害化出来るのに。

 俺しかいない、俺じゃあ大きな解決は出来ない。
 それでも、何もしないよりは、きっと。

「…………」

 シャルに触れた手から、俺の魔力を流し込んだ。
 強い強い風の魔力、シャルのとはまた異なる力。

 これをシャルが扱えるようにするには、
 さらに身体に負担を掛けることになる。
 その変換は、シャルが自分でやらなきゃならない。

 でも、まぁ、毒に喰われるよりは。
 
 今夜はシャルの隣に寄り添おう。
 明日、それでもシャルがベッドから出ようとしたら、
 俺が強引に寝かせちゃうもん。

 早く調子が良くなればいいけど、
 俺じゃあ応急処置しか出来ないのがなぁ。
 神様は俺に力をくれたけれど、
 それではシャルを助けられない。

 ……キィルを、こちらに呼べたらな。