RECORD

Eno.44 ブルーバードの記録

あなたの名は

私”達”の体の時間が止まってから、どのくらいの時間が過ぎたのでしょう。


『りーくん』
彼は酒場でそう呼ばれていた。
どう見ても生身の人間なのに、マシンオイルを啜り、酔ってもいないのに泣きながら酒場を出ていった。

どこか引っかかった。
ハイテンション過ぎる。
それに、自分の体をまったく顧みていない。
何か吹っ切れたようだ、と周囲にいた人達は言っていた。

それは、危ないサインだ。

”難病を患っていて元の世界に戻ると死んでしまうが
永住権を買ったからその問題は今は無さそうだ”


普通に聞くならそれはハッピーエンドなんだろう。
でもこの話はそうじゃない、……私にはそうじゃないように見える。

余命宣告をされているような負の無敵の人から、突然その枷が全て取り払われたら?
何をしても元通りになってしまう魔法があったら?
何もかもがどうでもよくなる、躁の無敵の人に―――


左手の手袋の下が淡く光る。
……行かなければ。もし彼が……

「……青い鳥は”あなた”を見捨てたりしない」