RECORD
Eno.255 Siana Lanusの記録




ある聖職者の言葉 34

「──俺はさぁ、何故か魔物を操る力があるんだ。
低位の魔物であれば容易に、中位であれば何とか。
上位のヤツは流石に無理だが──何故だかな。
昔に夢で見たんだ、魔物たちが俺の事を魔王だと崇める夢をさ。
実際の俺は別に魔王でも何でも無いんだが、
もしかしたらその夢と関係はあんのかもしれない」

「だから──という訳でもねぇけどよ、
俺はある精霊にその事情を話して──“契約”をした。
内容は悪いが口外できねぇ、が、
俺はこの世界の真理に触れ、それを元にこの宗教を創った。
──水の大精霊ル・ティアーの導きを以て、
この世の壁を穿ち壊さんという、な」

「…………この世界が舞台の上だなんて、
神の掌の上で、実験場だなんて、信じられるか?
アイツが言ったのはそういう事実だ、
俺には正直、飲み込み切れないが疑い切る事も出来なかった。
だから、だからだ。真実を証明したい。
俺は壁の破壊を以て、俺たちの存在の意味を問いたい。
俺たちが物語上だけの存在でない事を、
意思を持った人間である事を証明したい」

「……その証明こそが、俺にとっての救いだ」

「…………。
もっと詳しい事を知りてぇなら、
もっと詳しいヤツに聴くといい。
俺は結局、理解出来てねぇんだからな」