RECORD
【配信切り抜き】俺は真面目担当なので【紫】

「よ、視聴者の皆さん元気?アブシディだ」

「今シーズンもそろそろ……お?
そうだよ、ラウンジでベリーパイ食ってる」

「いやほんとは俺、酒場担当なんだけどさ〜……。
酒場って紫色のメニューが無くてな?
エネルギー結晶の中から紫色のをチョイスするしかねえんだわ」

「ヤだよ、味しねえし。
でも不思議と身体の調子は良いんだよな……」
〜切り抜き〜

「暫くリアルタイム同期型のPRが続いたし、今日は初心に帰って通常型の話をしようかな」

「通常クローンを作ると、オリジナルの脳内に“ブラックボックス”と呼ばれるマイクロチップを入れる。
そこにリアルタイムで記憶を書き込み続け、死後クローンに移すというわけ」

「耐熱、耐冷、耐圧etc……まあとにかく頑丈だけど、万が一の為に月一の手動バックアップを推奨してるよ。
クローンビジネス向けのクラウドサービスも幾つかあるね」

「……お、気付いちゃった?」

「そ。この記憶の移し替えを繰り返せば、永遠に生きることだってできる。」

「化学の進歩と出生率は反比例するからな。
クローンは少子化対策でもあるのさ。助成金も随分と増えたよ」

「人口を維持しつつ、文明を発展させる……クローン技術は人類の繁栄に欠かせないね」

「勿論、肉体年齢が若返ったことによって社会的負担も増える。税金とかな。
記憶の移し替えによる若返りは、そうしたデメリットも存在するんだけど……」

「ま、誰だって死にたくねえしな!
年々ヒトクローンの数は増え続けてるんだ」

「たとえどんなにデメリットがあろうと、“死なない”という最大のメリットを考えれば御釣りが来るだろ?」

「……死は損失だ。
人間ひとりの教育に、一体どれだけの金と時間が消費されてる?」

「勿体ないだろ。優れた人材がまた生まれるとは限らない」

「皆の世界にも、“歴史上の偉人が今も生きていたら”って話は腐る程あると思う。
生きた時代の違う彼らが力を合わせれば、不可能だって可能になる筈だと」

「……色々スケールの大きい話をしちまったな。
つまり自分の国や世界にクローンを普及させたいと考えるなら、俺らは社会制度の整備という面でもサポートできるよってこと。
俺達の国は、クローン社会のモデルケースとして良い例になる」

「無料相談はいつでも受付中だ。
元の世界に戻る前に、話だけでも聞いていかない?」

「どうか───貴方の世界を作り変える、手助けをさせてほしい。」