RECORD
Eno.255 Siana Lanusの記録








ある吸血鬼の言葉 35

「……この独り言を、聴いてるヤツが居るな?」

「嗚呼、盗み聞きをどういう気はねェよ、
どうせ俺はオマエらに手を出せねぇ。
俺はマルジャスだ。
魔王の配下で、ヴァンパイアロード。
『勇者と対峙する事になるボス』の一人ってトコだな」

「…………マリー様がどうこう言うヤツが居たら悪い、
変な人間拾っちまった俺によければ同情してくれ」

「……俺は何故だか“この世界”の仕組みを知っていてな、
それをどうにか壊せないか画策中なんだが、
下手に手を出すと創壁神の手によって修正される。
手段を探して手をこまねいている所ってワケだ。
──俺達はこの“舞台”を踏みにじれねぇ」

「なんせこの世界は
『勇者と魔王の物語』をするための舞台なんだ」

「この物語は繰り返される。
勇者か魔王が死んだら、ある地点から世界ごとやり直し。
勇者と魔王は選定され直し、また違う物語が始まる。
当然、前の周回の記憶は無くなる。
死んだはずのヤツだって普通に生きてる状態に戻る。
“やり直し”を知覚してる俺とて、前の周回の記憶は曖昧だ」

「ある時は魔王が扇動し、ある時は邪教が声を上げ、
ある時は魔物たちが勝手にやる気を出して。
魔物と人間の諍いは激化して、神が勇者を選定する。
──最近の情勢を見るに、そろそろ勇者も選ばれただろうな」

「ああ、まさに地獄だろうな、この世界は。
死んだところでまた繰り返す、
異世界に逃げたとしてもきっと逃げられやしない」

「俺以外に居ることを願いたいモンだな、
……創壁神を殺して、この世界を終わらせようと思うヤツが」