RECORD

Eno.563 一つ目の蜻蛉の記録

薄翅:Ⅵ

僕の魂はどう見えるかと、無理を言って見てもらったとき。
納得をしてしまったんだ。僕は結局どっちの世界でも中途半端で。VRスタジオから出たって、世界はどこか嘘くさくて。どれだけリアルを感じていても、この闘技場から僕はログアウトすることができてしまう。

だからきっと、『薄い』。

まだ自分がどこに所属したいのか、僕は決めきれていなかったから。迷いがあるから。僕は複数の世界を跨ぐように立っていて、どっちにも片足しか突っ込んでいなかったから。
どれだけ真剣に試合をしても、僕には人生の重さがない。賭けているものがない。なりたいものも、自分の性別すらも決めきれないまま生きてきて、今まではそれでよかったけれど。

礼節をもって応えたい。
様々な世界、様々な出自、様々な人生を持つ闘士たちに。友人たちに。尊敬する人たちに。
嘘をつかずに接したい。共に食事を楽しみたい。自然なまま、己の人生をもっと誇れるように生きたい。
何者かに、なりたい。

そのためには、することがある。

決めたいと思う。
あと少しの勇気を。