RECORD
Eno.332 プラエドの記録
それは一抹の夢
今宵の夢は何時もと違っていた
詰られるように木霊する糾弾の声達も
向けられ続ける怨嗟達も、数多の視線の群れも、今はない
罪人を救い、日常をも護ろうとそんな誓いを胸に手にしていた『剣』も何処にもなく
代わりにあったのは
豊かな自然、小さいながらも活気溢れた嘗て過ごした街の賑わい、争いもなく平穏に暮らす住民達、自分に向けてくれる笑顔や他愛のない話
処刑人は忌み嫌われる存在でそんな待遇は縁の無い事だと知っている
どの様な理由であれ人の命を奪う存在だから
それは元より『そういうもの』で自分はその覚悟の上で処刑人になった
けれど…『愛していた日常の、ほんの隅にでも自分が居られる事が赦されたら』なんて
そう思わなかったかと言えば嘘になる
まあ、その愛も希望も滅びの形で打ち砕かれ
それらを語る者達も悠遠くに掻き消えて
自らの記憶も疎なりて幾星霜と
延々と生きてしまっていた訳だが
故に処刑人はがらんどうで
自らの在り方に固執し
夢というものを何処かで諦めていて―――
この優しい夢も目覚めたらきっと忘れて認識出来なくなってしまうけれど
それでも
そんながらんどうな処刑人が心の何処かで欲していたのは
処刑人という嘗ての在り方の確立よりも
『忌み嫌われることもなく、誰かと共に過ごせる平穏な日々』
そういう、ささやかな日常だった
――――――――――
ベッドに置き去りにされていたアイスボックスクッキーに付随された『ありがとう』の手紙には無意識ながらそんな意味も
もしかしたら、有ったのかもしれない
詰られるように木霊する糾弾の声達も
向けられ続ける怨嗟達も、数多の視線の群れも、今はない
罪人を救い、日常をも護ろうとそんな誓いを胸に手にしていた『剣』も何処にもなく
代わりにあったのは
豊かな自然、小さいながらも活気溢れた嘗て過ごした街の賑わい、争いもなく平穏に暮らす住民達、自分に向けてくれる笑顔や他愛のない話
処刑人は忌み嫌われる存在でそんな待遇は縁の無い事だと知っている
どの様な理由であれ人の命を奪う存在だから
それは元より『そういうもの』で自分はその覚悟の上で処刑人になった
けれど…『愛していた日常の、ほんの隅にでも自分が居られる事が赦されたら』なんて
そう思わなかったかと言えば嘘になる
まあ、その愛も希望も滅びの形で打ち砕かれ
それらを語る者達も悠遠くに掻き消えて
自らの記憶も疎なりて幾星霜と
延々と生きてしまっていた訳だが
故に処刑人はがらんどうで
自らの在り方に固執し
夢というものを何処かで諦めていて―――
この優しい夢も目覚めたらきっと忘れて認識出来なくなってしまうけれど
それでも
そんながらんどうな処刑人が心の何処かで欲していたのは
処刑人という嘗ての在り方の確立よりも
『忌み嫌われることもなく、誰かと共に過ごせる平穏な日々』
そういう、ささやかな日常だった
――――――――――
ベッドに置き去りにされていたアイスボックスクッキーに付随された『ありがとう』の手紙には無意識ながらそんな意味も
もしかしたら、有ったのかもしれない