RECORD

Eno.594 ルシアの記録

土産に持たされた瓶で 腹立たしい頭をかち割ってやりたかった。
どんな躾もきかない駄犬。
どれだけ縋ってもすり抜ける手のひら。

私のためだと吠えていた。
そんなわけないじゃない。私の傍にいることが、一番私のためになるでしょうに!

翼落として、手足落として、喉割いたって逃げ出す貴方。
同じ苦しみ同じ怒り、魂と血を分け合う貴方。

「帰ってくるからさ、おまえも暫く店じまいしろよ」

今更信じられるとでも?
頭撫れば許されるとでも?

嗚呼全く、腹の立つ兄。
この世の全て踏んで回って、ならした大地で踊りたいだけなのに。
世界で唯一貴方だけが、私と踊る権利があるというのに。

「大丈夫だよ。離れてたって、行き着く先は同じ地獄だ」