RECORD

Eno.601 魔獣狩りの記録

前日譚


自分が物語の中のヒーローであると想像しても、実際にそうであると言われると、いいや、ないね、と呆れたような感想を抱く。

そんなところだろうし、彼自身もそうであった。

手の甲に変なあざがあったから、両親は産まれてきた時さぞ驚いたという。
それこそが魔獣狩りである証だったが、それがそうであるなんて思う親はそうそういなかった。
彼が生まれたのはのどかな村。
農村の手伝いをして、種を蒔き、水をやり、刈り、そうやって。
朝から夜までよく働いた。

平凡。

彼自身。
そんな暮らしが長く続くどころか。
一生続くのだろうと思っていたのだけど。


──数年後、彼は中央ギルドの人間に見つけられるのであった。