RECORD

Eno.9 ウサの記録

『天使たちの街』


天使が集う街。
あるいは、かつて天使が作り上げたとする街。
実情はともかく、アメリカにはそんな大きな街がある。

そして、武者修行めいた旅の果てに、私はその片隅で暮らしていた。


かつての私の話。
兄に勝ち、師範に勝ち、やがてグレた私は、18になった日に家を出た。

それからの生活は『武芸で日銭を稼ぐ』という言葉で取り繕われた名目の、
実情は金を掛けてケンカをする、チンピラの真似事で金を貯める日々。
……全ては燻る私の心を抑えるために。

当然ながら、不良程度に心を満たす相手なんかいなくて、
何かが爆発した私は、名も知れぬ輸送船へと忍び込んで。
そうしてたどり着いたのが、先に述べた街の片隅、名もなき日本人街だった。

新天地でもまた再びケンカに明け暮れつつ、語学を体で覚えていたら、
気付いた時には小さなヤクザのお目に掛かっていて。
そんなこんなで、うちは"首輪付きの用心棒"になっていて。


……


向こうなりの"刀"を拵えて貰って、十分幅を利かせて貰っている。
銃が隣にあって、ケンカにチャカが出てくるだけで、暮らしだって悪くないもんだ。
何より、あいつらは今までの誰よりも弱かった。

「……あいつらは『銃があれば勝てる』と思ってっからな。
 そう思ってる限りは、うちを殺すこたできねーだろうよ」


そんな傲慢さを身に秘めつつも、それを証明するには命が足りないと感じる日々。
結局、ここでもまた燻った日々を送っていた。


――少なくとも、あの"手紙"を受け取るまでは。