RECORD

Eno.109 ネージュ・コルウスの記録

絆の枷

人間ひとはつくづく面倒な存在だ。
大切なモノがあれば、それを取り上げられたり傷つけられることを嫌う。ボクだってそうだ。

ボクは生前、いろんなモノを奪い、傷つけ、壊し、弄んできた。
それを咎められる意味を、まるで理解ができなかった。
あの頃のボクの大切なモノはすべて、ボクの内側にしかなかった。
ボクは、自分自身を愛することにすべてを捧げてきた。

今はというと、冒険を通して得たたくさんの繋がりが、
ボクの大切なモノとなって、ボクそのものを繋ぎ留めている。
ボクの正体を知ってなお、友達としていてくれるひとだって幾人もいる。

人喰いの怪物であるロゼでさえ、人間を食べないようにできているのは、
これまでに出会った"友達"の賜物だろう。

――けれど。
もしボクとロゼたちが、この先半神的な存在のように遠い未来まで生き続けたとして。
ボクの野心を抑えられる"善い"友達や顔見知りが、みんないなくなったなら。
たぶんボクは、本当の意味で人間ひとの理から外れて帰ってこれなくなってしまうのだろう。

きっとその方が、ボクにとっては良かったかもしれないけれど。