RECORD

Eno.465 ラガーの記録

交流:旅行と囁き


お借りした方 No.332





そろそろ今シーズンも終わるからなのか、自然と酒場の話題もこのフラウィウスに残るか帰るか、別の場所に行くかとかそういうものになりつつあった。

プラエドは旅行にいくって言ってた。
アルアが旅行に誘われたって話をしてたから、もしかしてプラエドと行くのかな?ってなんとなく考えてる。師匠てば一人でどっか行きそうにないし。
もしそうだったら凄く嬉しいな。二人とも仲良いから、きっと楽しく過ごせそう。
そうじゃなかったとしても、俺二人のこと好きだし、二人には少しでも満ちた時間がやってくればいいなって思う。



……それで、旅行俺誘いたかったって言われてまずびっくりしたの。そういうの全然考えたことなかったし。
でも俺はここに稼ぎにきてお世話になってる宿屋を助けるつもりで来てたから、帰るって決めたんだ。

そしたら遊びに行くよって。旅行の話を聞かせてくれるよって。
会いに行くまでは長生きしろよって。

……。

……嬉しかったのに、元気に頷いて答えたらよかったのに。
やっぱりどうしても怖くて上手く頷けなかった。

未来の約束をしないことにしてたんだ、今まで。だって人は突然いきなり死ぬことだってあるから。俺も他人も。
約束をして何度も果たされなくて、虚しい思いばかりするからいつしか遠ざけるようになってた。

……部屋に遊びに行った時みたいに、プラエドにはよくないところばっかり見せてて申し訳ないなって思ってる。


「……」




……申し訳なく思ってるところに、プラエドが少しだけお話をしてくれた。
怖いことを忘れさせてくれるような甘い囁きだった。
一度浸れば、もう溺れて戻って来れなくなりそうで。

……でもね、俺、約束を大事にしたいから。
果たせなくなって誰かに悲しい思いや虚しい思いをさせるのは、嫌だから。約束はできるだけ守るようにしてるの。
それまでお預け。現実で会おうね。

頑張る、頑張るよ。
俺もちゃんと、未来のことから目を逸らさないから。
……いつかまた、会おうね。







いきたい、生きたい、逝きたい、死にたくない、死にたい。
ずっとずっと"死にたくない"以外なかった内側に色んなものが溢れてくる。
ぐちゃぐちゃだ、どんどん混ざりに混ざってく。

怖いな、怖いな、怖いな。
希望をもつことがこんなに難しいと感じるなんて、自分はやっぱり人間の出来損ないなのかな。
夢に逃げたい。溺れたい。

でもね、それじゃあしあわせは手に入らないから。
……俺はいきたい。