RECORD

Eno.186 軍人の記録

軍人の記録7

「僕の表情って判りにくいのかな」


「……そう?
 私はちゃんとあなたが笑ってるってわかるわよ。
 ロッカも同じだと思うけど」


「……そうか」





「───」


「……夢。」



起きて顔を洗って、鏡を見る。
相変わらずうさぎのシールを頬にくっつけた男が映っている。

昔から表情が判らないと言われる。
人並みに笑って泣いて怒っているつもりでも、他人から見るとそうではないらしい。
国の人々は花の香りを持って生まれて、
その匂いは感情に合わせて強まるはずが、己の場合は滅多に反応しない。
困ることはたまにあるけれど、治す術もないからずっとこのままだ。

家族と、一番大切な人が理解してくれるならそれでいい。

「世の中、能天気な方が生きやすいらしいからな」