RECORD

Eno.489 アレイ・ガンセンの記録

メモ書き

この世界に招かれて随分経った。
少し状況を整理しておこうと思う。
文章にまとめるのはあまり得意じゃないが。

元居た場所が山と山の間で、内陸部というそうだ。
海との接点が乏しくここでは見るもの全てが新鮮だった。
武器、食べ物。
ここにいる人達。

そして催される決闘を模した戦い。
共に鎬を削り切磋琢磨する相手。
強くなるにはもってこいだと俺は唯々喜んで戦っていた。

…そう、勝手に思い込んでいた。
戦う理由は人それぞれだったし。
ここでの戦い、ここでの強さなど外では通用しないと随分痛い言葉を投げられた。
言われて納得する自分もいたし、
じゃあなんで自分はここにいるんだろう、なんて。
柄にもなく考え込んでしまった。


らしくない。
あぁ、本当に。
そんな些末なことを気にしていられるほど。
向かう先は、伸ばす手は、簡単に目標に届きっこないことくらい分かっているはずだったのに。

幾たびの死地を越え、その永い闘いの日々に負けはなく。
そうして親父が背負っている『剣聖』の名はそう安いものではないのだから。

改めて、誓う。
アレイ・ガンセンは『剣聖』を越える。そのために立ち止まるような暇はない。
必死に前へ進む、血の滲むような努力を重ねる。
その上でここの外でも通じる強さに、繋がる鍛錬を重ねるようにしよう。

…頭を使うのは得意じゃないんだが。