RECORD
Eno.44 ブルーバードの記録
◆かぐや姫
私にもし、作戦を練れる切れる頭があったなら
私にもし、敵対者を退けられる強靭なフィジカルがあったなら
私がもう少し、強かったら、頭がよかったら、何かを動かす力があったら
どこかはきっと、違っていたんだ。
後悔という出口のない迷路を揺蕩う。
それはいついつまでも私が背負うべきもので、決して終わりがあってよいものではないと思っていた。
『終わりの先』
そんなことを言い出した人は初めてだ。
死は終わりだ。
そこで終わり。
忌むべきもの、怖いもの。
死期が近いなんて言い出そうものなら、大体皆眉を顰めたり、迫る死の恐怖を私を死神と呼ぶことで紛らわせるのに。
彼は死期が近い自覚がありながら、自らの終わりに恐怖を感じていないようだ。
フラウィウスにおいては彼は、『近い』状態のまま時間があるからかもしれないけれど
眉を顰めもしなければ、死神の羽音を嬉しそうに聞いているようにも見えた。
―――”王子様”は、居ない。
私が最期に見た、『腕も足もなく体中に矢や剣が刺さっているのに私の元へやってきてくれた王子様』が、死の間際の幻覚であることを、フラウィウスは教えてくれた。
その状態ではまず、身動きを取ること自体が不可能なのだ。
ずっといっしょ、そんなものは、無い。
ないんだ。……無かったんだ。
かぐや姫に、なりたかった。
伝説に語られるかぐや姫は、最後に大切な人にお礼を言って、終わりを迎えられたから。
私は、何も言えず、何もできず、大切な人々の命をいたずらに奪い、自分も誰にどうやって殺されたかわからない最期を迎えた。
後悔だけが、残った。
……終わりに先がもし在るとするならば。
次は大切な人にお礼を言って終わりを迎えられるような、人生がいいと……思った。
貴方が、望む終わりを迎えられるように。
貴方の青い鳥は、貴方のために在る。
私にもし、敵対者を退けられる強靭なフィジカルがあったなら
私がもう少し、強かったら、頭がよかったら、何かを動かす力があったら
どこかはきっと、違っていたんだ。
後悔という出口のない迷路を揺蕩う。
それはいついつまでも私が背負うべきもので、決して終わりがあってよいものではないと思っていた。
『終わりの先』
そんなことを言い出した人は初めてだ。
死は終わりだ。
そこで終わり。
忌むべきもの、怖いもの。
死期が近いなんて言い出そうものなら、大体皆眉を顰めたり、迫る死の恐怖を私を死神と呼ぶことで紛らわせるのに。
彼は死期が近い自覚がありながら、自らの終わりに恐怖を感じていないようだ。
フラウィウスにおいては彼は、『近い』状態のまま時間があるからかもしれないけれど
眉を顰めもしなければ、死神の羽音を嬉しそうに聞いているようにも見えた。
―――”王子様”は、居ない。
私が最期に見た、『腕も足もなく体中に矢や剣が刺さっているのに私の元へやってきてくれた王子様』が、死の間際の幻覚であることを、フラウィウスは教えてくれた。
その状態ではまず、身動きを取ること自体が不可能なのだ。
ずっといっしょ、そんなものは、無い。
ないんだ。……無かったんだ。
かぐや姫に、なりたかった。
伝説に語られるかぐや姫は、最後に大切な人にお礼を言って、終わりを迎えられたから。
私は、何も言えず、何もできず、大切な人々の命をいたずらに奪い、自分も誰にどうやって殺されたかわからない最期を迎えた。
後悔だけが、残った。
……終わりに先がもし在るとするならば。
次は大切な人にお礼を言って終わりを迎えられるような、人生がいいと……思った。
貴方が、望む終わりを迎えられるように。
貴方の青い鳥は、貴方のために在る。