RECORD

Eno.56 スミスの記録

手記

我が主は、その命の奔流が如き御方である。
世のエネルギーの中心にいる御方である。

火の神たるは、我が主である。

主はひとたび地上を指差せば
地は熱を帯び、海は火を噴き
瞬く間に地上を被われた

争いにかまけた命をもろとも、火に焼べていく。
憐れにも愚かな命をもろとも、熱に並べていく。
全ての命が平等になり、エネルギーになり、煮られていき
主の手の内に還るのである。



私は地上の一部を任されし者のうちの1柱。
主は仰った、地上の命の持ち得る物の監視をと。
その為に金を煮る権限を、私に授けられたのだ。

私は命に、道具の打ち方 得物の打ち方
それらを一部の敬虔な命に伝えた。

命は時には命をかけて、あるいは魂をかけて
金属を熱し、打ち、己が技術も、誇りもかけ
精錬される様子は 美しく芸術的であった。

そうして命らは私や、我主を敬い
鍛治そのものの信仰と祈りを、届けるようになった。

鍛治の者は、私の名である スミスを苗字で名乗るようになったのだ。
その力に肖るように。



オレは、鍛治をする人間も 金属加工をする人間も
それらの人間の魂込めた得物、それを魂かけて振うものも
等しく、正しく、好ましく思っている。

主よ、もう少しばかり 待っていてください。
此処でしか見れない、魂のぶつかりと輝きがあるのです。

弥栄!