RECORD

Eno.465 ラガーの記録

記録:個室にて


ただの偶然からやってきた全く知らない世界。
夢のような世界だった。
夢のような場所だった。
夢のような時間だった。

俺が生きていく分には何の文句もない充実した場所で、ずっとここにいられたらなとさえ思ってしまう。


……ああ、でも。
俺はいきたいから。
夢に浸り続けるのはそろそろ終わり。
帰る準備をしなくては。






少しだけ、あいつと話をした。
俺がしあわせだと思っていたものは最上のそれではなくて、本当に「死んでもいい」と思えるような満ち足りたしあわせがあるらしい。

何が違うんだろう。ただ痺れるような気持ちよさを味わうだけじゃ、怖いものを拭い去るだけじゃダメなのかな。

分からなかった。俺は漸く、自分から何かを強く欲しいと思う気持ちとしあわせだと言い切れるものを見つけたばかりなのに。

……でも、でもね。
ずっと一人で誰も届かないような場所に沈み込んでいたあいつが、そう言い切るのなら。言い切るほど変われるものなら。
俺も頑張って探してみようと思う。

ああ、ああ。
人ってこんなにも考えること多いんだ。
人ってこんなにも沢山の感情が込み上げてくるんだ。
大変だな、難しいな。
……でも、嫌じゃないよ。








願いの果てに辿り着けるまで、どうか思い出に縋らせてほしい。
絶対、俺でも無くさない大事なものをもらった。
これなら喪わず俺の手元にいてくれる。

それなら、大丈夫。
ちゃんと一人でも歩けるよ。