RECORD

Eno.374 ぺルシルの記録

桔梗の花よ 2

「うわ、既に大荷物だわ。これ以上何持ってくんだよ」


 買い物を終えた後、手に持った紙袋の大きさに目を見張る。
 大きな買い物はもうできなくなってしまった。するつもりもないが。

「色々っつったからなぁ。せめてあと一個くらいは……お」


 そこで目に入ったのが、故郷でよく見た鶴柄の、厚手の布。
 それに小さな無地の御札も。

「うわたっけぇ……すみません、これお願いします」


 決断は早かった。
 ファイトマネーの減り方が尋常ではないが、どうせもう少しでここを離れるのだ。最後くらいぱーっと使ってしまおう。
 これで何を作るのかと言えば、御守である。
 自作の御守というのは、同級生の間で結構流行ってたなぁと思い出したのだ。
 交流に疎い自分は、それを遠目に見ていただけだが。
 恋愛について考えていたから、こんなことを思い出したのだろうか。

「表に書くのは無病息災でいいかな。そこは神様の力をお借りして……ん?」


 制作にも時間がかかるし、さっさと帰ろうと思った矢先。
 目に入ったのはひとつの指輪。
 特にこれといった装飾がない、シンプルなデザインのもの。

「……愛ってのはトップクラスに厄介な呪いだけど。上手く扱えるなら、これ以上ない武器だよな」

「……よし。これも中に入れようか」


 信じられる神様は居ない。
 願いを込めるのは己のみ。ならば、どうやってその願いを強くしようか。
 材料は揃った。製法も決まった。今度こそ、買い物はこれでおしまいだ。

「そんじゃ、帰ってクラフトの時間だな」