RECORD
Eno.570 クフィアトの記録
闘技場の裏にて(前)
闘技場の関係者通路で、クフィアトは遂に探し人を見つけた。

クフィアトの言葉に、仮面をつけた女騎士は数瞬歩みを止めると、振り返らずに言葉を紡いだ。



メーヌリスはそう言って立ち去ろうとするが、クフィアトはその腕を掴んだ。

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クフィアトの言葉に、メーヌリスは振り返り、その胸を見た。
いつかの手紙で贈ったヘンルーダのブローチが、そこにあった。
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クフィアトは、メーヌリスを抱き寄せた。

「月の君!!」
クフィアトの言葉に、仮面をつけた女騎士は数瞬歩みを止めると、振り返らずに言葉を紡いだ。

「…誰かは存ぜぬが、何処かで会ったか?乱闘では見えた覚えはないが。」

「貴女は月の国の姫君、メーヌリスだろう?私は花の国の者だ。」

「…人違いではないか?花の国は月の国によって無くなり、月の国もまたとうの昔に無くなった。仮にそうであったとしても、私も貴公も、ただの死に損ないだ。」
メーヌリスはそう言って立ち去ろうとするが、クフィアトはその腕を掴んだ。

「メーヌリス、貴女が数々の闘技場を放浪していたのは、見世物として傷つくことで贖罪をしようとしていたからだろう?もう自分を罰する必要はない。私が、貴女の全てを許す。もう、戦わないでくれ。」
「…ッ烏滸がましい!!何を上から…!!!」
クフィアトの言葉に、メーヌリスは振り返り、その胸を見た。
いつかの手紙で贈ったヘンルーダのブローチが、そこにあった。
「………貴公は…貴方は……」

「愛しい月。生まれ変わって、私は貴方に会いに来ました。今度こそ貴方の傍に居ます。」
クフィアトは、メーヌリスを抱き寄せた。