RECORD
Eno.306 スオジィエの記録
夜の海、漣は多くの蛇の群れのよう。



振り返れば人々の営みの灯り。
眼前に広がるは水の底の昏さ。

個を見てはならない。
思考してはならない。

個を見てしまえば、亡失が続く。
死の無い者にはそれは永劫である。
独白
夜の海、漣は多くの蛇の群れのよう。
「好い時だった。
よく、遊び、よく話し、よく…」
「眠ると、きっと、全て無い。
私を残して、全て」
「好いと思った、ものも…何一つ残らない
振り返れば人々の営みの灯り。
眼前に広がるは水の底の昏さ。
「どうして、私ばかりが、生き続けなければ」
個を見てはならない。
思考してはならない。

「どうして」
個を見てしまえば、亡失が続く。
死の無い者にはそれは永劫である。