RECORD

Eno.61 ジュヘナザートの記録

話すまでも無い事

 

「話すまでも無い、っつーか」



何を何から話すべきなのかが分からない、と言うべきなのかもしれない。
最近自覚した事だが、あたしはあたしの言葉で話すことがそもそも得意じゃないんだ。
押し留め固めていた様々を一気に放流するのは、水でも無いから簡単な事じゃあない。単純なことだ。

そうじゃなくとも、この世界に来てから起きたことは濃いの一言で済ませられない程度には多くて刺激的過ぎて、
感覚の乏しかったあたしからすれば、少し疲れてしまう程。
自分の感情にも相手の何某かにも振り回されていると言えば正しいかもしれない。


ただ、悪い気分ではない。


良い思い出ばかりとは絶対的に言わないけれど、
それでもここでの体験は、あたしにとって割合と言い影響を齎した、のかもしれない。
賑わう酒場の空気も他者とに触れ合いも、悪いだけのものじゃないと。
あたしはあたしでも、生きても良い理由や欲を取り揃えても良いらしい。

「世の中は良いもんじゃない、人生はクソッタレであたしだってロクなモンじゃないさ」


酒に溺れて煙で誤魔化して、微睡んでいたのも悪くはなかったけれど。

「それでも、あたしは十分報われてる」



まだ短くはない人生だし。
生活信仰環境宗教も変わらないけれど、もう少し真面目に歩いても良いかな。
また来るよ。