RECORD

Eno.28 柿原玄輝の記録

ひとり言と、

 
――君がはじめて私に踏み込んで、ぶつかり合ったあの時
本当は何かを願うより先に、満足しちゃったんだよね
怒鳴って、剣振るって、それを受け止めてもらって
君がここにいるだけで充分になっちゃった

「……なーんて思いもしたけれど、いざ離れるとなるとさみしいなぁ」



人間贅沢に慣れるとどこまでも我儘になるもんだな
仕方ないから、次会う理由でも作っておこうか。
考えて、便箋に適当な文字を綴る。



「うん、これでいいかな」



帰ってからも暫くは、私がそこに有り続けるだろう様子を想って。
ネモフィラの花に便箋を巻き付けた。
君がこれに気付くのは、いつになるだろうな