RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

或る日の会話記録


──キィル、キィラン、聞こえるかい?

──はい、あるじ様。

──やった、通じた!
ガンダリーゼの力って優秀ー!
えっとさ、俺たちが異世界にいるってのは知ってるよね。


──はい。我らが世界では、
人が異世界に飛ばされるなど、珍しいことでは御座いませんので。
異世界からこちらまで、
まさかメッセージの魔法で会話出来るなどとは、
思ってはおりませんでしたが。


──して、何用ですか、あるじ様。
そろそろシャル様と戻られますか?
それとも他に、ご用事でしょうか。


──キィルにもここに来て欲しいから、
ガンダリーゼを通じて闇神さまに扉開けて貰うことになった。
神様の愛し子の俺なら、そんなこと余裕なんだぜ!


──は? あの、フェン様?

──あの世界への長期滞在が見えてきた。
それにはね、君の力が必要なのさ、キィル!


──フェン様が私に頼んだ
他の仕事はどうすれば良いと???


──後回し、後回し!
キィルなら上手くやれるでしょ、じゃあね!


──フェン様ー!? あの、フェン様? あのですね?


 会話は、勝手に終わってしまった。
 キィラン・リリィスは溜め息をついた。

「はぁ……まったく、相変わらず、自由なお方ですね。
私への信頼があるのは嬉しいことですが、
私の能力を過剰評価していませんか?」

 アンディルーヴ魔導王国、執務室。
 キィランは今後やるべきことを頭に纏め、
 出立の準備を整えるのだった──。

「まぁ、私たちがおらずとも回る王国です。
いなくなっても困らない、というのは、
ある意味、好都合ではあります、が……」

 闘いの世界ね、と呟く。

「……私に戦闘適性などないのは、フェン様もご存知でしょうに。
この際だ、あちらではフェン様に養って貰いますよ……」

 青と金、ツートーンの瞳が、呆れたような輝きを放った。