RECORD
Eno.44 ブルーバードの記録
◆10月3日、天浅葱の日記
今から……40年前の話。
『姫様』だった記憶が戻った直後は……
あの時、最期まで一緒にいてくれた……巻き添えにして殺してしまった王子様を探し出して、『切原雪』の命を捧げたいと思った。
その人が運命じゃなくても、よかった。
私の我儘で……殺してしまったから。
少なくとも、彼は私を好いてくれてはいたと思う。
子供に恵まれず、やっと生まれた私を、父上は大切に大切に育ててくれた。
もちろん立場が立場だから、物心つく頃には婚約者探しになるわけだけど
既定路線が腹立たしい私は、来る男を片っ端から庭の池に落としていた。
相手もいいところの王子様だから、池に落とされたらプライドが傷ついて狂うように怒るわけで。
お断りに次ぐお断りで困った父上が、「よーしパパ一番変なの連れてきちゃうぞー」って連れてきたのが、あの王子だった。
変な奴だった。
「ちちうえがはなしをしているあいだ ぼくとあそんでくれますか」
来るガキどもがみーんな偉そうにしていた中、彼だけは私を立てた。
「あはは 鬼姫ってよばれてるのに あんがいおっちょこちょいなんだ」
彼だけは、池に落とそうとする私のキックを避けた。
「きょうあそぶやくそくしたこと、ぜんぶできなかったから またきてもいい?」
二度目の来訪を許すのは、この話を前向きに検討するという意味だ。
変な奴だった。
最期まで、変な奴だった。
帝に背いた私と一緒にいる、つまりは死ぬ道を選びながら、私の臨終の時に傍にいることは無かった。
……なかったんだ。
この話はここでは終わらない。
結論から言えば、私を殺したのは…………この男だ。
私は存在するだけで、そうしたい人にとっては殺す理由に足る……そういう、家柄の”現人神”だった。
下手な作戦を打ち、隙を一瞬でも見せたなら
…………殺されて当然なのだ。
今では、私が唯一汚い言葉で接したい人間。
お前は何を考えていた?
前に進もうとしない、無能は罪だ。
逃げようとするだけで立ち向かわないのは、罪だ。
何人死んだと思っている?
お前は…………その全ての事から、…………逃げるんだな。
命を懸けて守ってくれた家臣達の命から!!!
作戦も何も知らず姫としての尊厳すらも守れず死んだ私の命から!!!!!!
とんだゴミクズが。
『姫様』だった記憶が戻った直後は……
あの時、最期まで一緒にいてくれた……巻き添えにして殺してしまった王子様を探し出して、『切原雪』の命を捧げたいと思った。
その人が運命じゃなくても、よかった。
私の我儘で……殺してしまったから。
少なくとも、彼は私を好いてくれてはいたと思う。
子供に恵まれず、やっと生まれた私を、父上は大切に大切に育ててくれた。
もちろん立場が立場だから、物心つく頃には婚約者探しになるわけだけど
既定路線が腹立たしい私は、来る男を片っ端から庭の池に落としていた。
相手もいいところの王子様だから、池に落とされたらプライドが傷ついて狂うように怒るわけで。
お断りに次ぐお断りで困った父上が、「よーしパパ一番変なの連れてきちゃうぞー」って連れてきたのが、あの王子だった。
変な奴だった。
「ちちうえがはなしをしているあいだ ぼくとあそんでくれますか」
来るガキどもがみーんな偉そうにしていた中、彼だけは私を立てた。
「あはは 鬼姫ってよばれてるのに あんがいおっちょこちょいなんだ」
彼だけは、池に落とそうとする私のキックを避けた。
「きょうあそぶやくそくしたこと、ぜんぶできなかったから またきてもいい?」
二度目の来訪を許すのは、この話を前向きに検討するという意味だ。
変な奴だった。
最期まで、変な奴だった。
帝に背いた私と一緒にいる、つまりは死ぬ道を選びながら、私の臨終の時に傍にいることは無かった。
……なかったんだ。
この話はここでは終わらない。
結論から言えば、私を殺したのは…………この男だ。
私は存在するだけで、そうしたい人にとっては殺す理由に足る……そういう、家柄の”現人神”だった。
下手な作戦を打ち、隙を一瞬でも見せたなら
…………殺されて当然なのだ。
今では、私が唯一汚い言葉で接したい人間。
お前は何を考えていた?
前に進もうとしない、無能は罪だ。
逃げようとするだけで立ち向かわないのは、罪だ。
何人死んだと思っている?
お前は…………その全ての事から、…………逃げるんだな。
命を懸けて守ってくれた家臣達の命から!!!
作戦も何も知らず姫としての尊厳すらも守れず死んだ私の命から!!!!!!
とんだゴミクズが。