RECORD

Eno.637 ナルシテート・スラミガル・ビビの記録

竜人とは(出典:亜人と迷宮)

種族:竜人ドラゴニュート
分類:ドラゴン種ヒューマノイド属亜人科
学名:ドラゴサピエンス

解説:竜人ドラゴニュートとは、竜種の亜人の総称である。
過去では幻想種ファンタジー・アニマルとされ、現実に存在しない生き物として扱われていた竜であるが、迷宮ダンジョンという現世の理を大きく覆す異界の現れにより、彼らはまるで昔からそこにいたように現れた。
魔物であり、人である。亜人というものの歪さを大きく象徴する、生まれながらの強者である彼らの扱いというのは非常に二転三転している。
個人の影響力が社会を大きく揺らがしかねないため、現在でも扱いの難しい種族である。
竜人ドラゴニュート爬虫類人レプティリアンの大きな違いは、体温調節にある。
爬虫類人レプティリアンは基本的に寒冷地に向かず、極度な気温の変化についていけない変温動物の側面を持つが、竜人ドラゴニュートである彼らは心臓とは別に体温調節用のとも呼べる硬質臓器を一つ以上有する。
つまり彼らは恒温動物なのだ。
この炉は、いわゆる魔力と呼ばれるエネルギー概念物質を圧縮し、多量に保有している。
竜人ドラゴニュートの強さはこの炉の数で決まり、炉の排熱のために特殊な鱗を一枚体のどこかに保有している。この鱗を、一般的に逆鱗と呼ぶ。
また彼らの多くは竜体と呼ぶ質量保存の法則を大きく無視した文字通り、竜の形態をとることができる。
この性質が竜が亜人認定を受けるにいたり、多くの学者を悩ませてきた理由の一つだ。彼らは、竜体の方が遥かに過ごしやすいとの研究結果が出ているためである。
大きさは炉の数に依存するが、現状ギネス記録に乗っている竜人ワドルド・ドド・ドルドワ氏の竜体の全長は32m、体重は3万t。怪獣といって差支えがない。
竜人ドラゴニュートは竜体になる場合、よほどの事がなければ国に自身の竜体を名簿登録し、一定年齢を超えた場合国の誘導に従って都市部から離れた場所に移住する。
竜人ドラゴニュートの寿命は只人の5倍ほどではないか、とされているが、古老個体になればなるほど短命種族との時間のズレが激しくなり、温厚になる代わりに人の姿を維持することが難しくなる。
ワドルド氏ほどの巨体ではなくても、10mを超える個体は多いため、身動き一つで建物が倒壊しかねない事から、隔離処置といった意味が強い。
なお、この処置や移住の事を、若い竜人ドラゴニュート達は「老人ホーム逝き」と例えている。
これを読んでいる読者の身近に竜人がおり、その竜人が人型を常態化させていたり、気性が荒ければその竜人ドラゴニュートは若い個体か、あるいはドのつく若作りの古竜か、とんでもない奇人である可能性が高い。

(略)

竜人ドラゴニュートは個体数が少ない理由の一つに、出生率が異常に低い事があげられる。
全体を見て温厚で穏やかな種であり、少ないケースであえるが異種との交配にも成功しているが、その中でも竜人の子が出来る確率は5%にも満たない。
一種の学説によると、竜という子を孕む以上、母胎、胎児が共に炉の生成過程に耐えられず、過剰魔力暴走により堕胎してしまうのではないか、との事だ。
実際竜人ドラゴニュート同士でも、子が出来ていると確認できた例は少なく、文字通り選ばれた子供しか産まれてこないのではないだろうか。
竜という神秘的な生物である事も相まって、カルト宗教や国家の顔として崇め奉られるコトも多い彼らだが、生物的にも非常に特殊な成り立ちをしているのは間違いない。
幸いなことに、竜人達は種としての結束はそこまで強くなく、生まれながらの強者であることからか、表立った権力闘争には興味が薄いようだ。
自己顕示欲の強い竜人というのも全くいないわけではないが、国からの束縛が強いため、そこから逸脱すると速攻で討伐隊が組まれるのでここ数十年、そういったやらかしが出る事はない。

ちなみに、冒険小説などである竜のように、竜人も特定の物事にたいして強く偏執することはままあることらしい。金銀財宝であったり草花であったり宗教であったり、基本的には不変のものを愛しがちらしい。
これを長命種としての退屈を紛らわす行為と見るか、単なる癖と見るかは、これを読むあなたの受け取り次第だろう。

著:亜人研究家ウォルト・ギャギャギャリ